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「……よし、これでとりあえずは全部かな」

ダンボールが散乱するマンションの一室、私は一際大きいダンボールを部屋に入れてようやくふう、とため息をついた。

今日からここが新しい私の城かあ〜!!

大学卒業後、入社した会社で1年の地方研修を終えようやく今年から本社勤務になり念願のマンションでの一人暮らし!大学は実家から通っていたし、地方研修では会社の寮での生活だったので厳密に言えばこれが初めての一人暮らしである。

そう思えば、この白い壁紙も窓から差し込む暖かな日差しもやわからく、新しい生活の後押しをしてくれているように感じた。

「あ!忘れないうちに近所に挨拶いかなきゃね」

私は玄関に置かれた4つの紙袋を手に靴を履く。上下左右の部屋に挨拶に行けば充分だよね?



[ピンポーン]

まずは私の部屋の右隣の部屋から挨拶することにした。軽快なインターホンの音のあと10秒ほどでドア横のスピーカーから女性の声が聞こえる。

「はーい」

「今日となりに引っ越してきた者です。ご挨拶をと思いまして…」

「あら!わざわざありがとうね、ちょっと待っててくださいな」

言葉通りドアの前で少し待っていれば、ガチャリとドアが開く音と共に5,60代だろうか、初老の女性が顔を出した。


「あらあら!こんな可愛らしい子が引っ越してきたのね〜!」

「隣に越してきたAです。しばらくは荷解きでバタバタしてしまうと思うのでご迷惑おかけするかもしれませんが…」

「いいのよ〜!うちも旦那と二人暮らしで対して気にしないタイプだから、荷解き頑張ってね」

「ありがとうございます!良ければこれ使ってください!」

少しの会話を交わして手にしていた紙袋の一つを渡す。その女性は「あらあら!ありがとうね〜!」と快く受け取ってくれた。

互いにこれからよろしくお願いしますと挨拶をして、玄関をあとにする。



さて、次は逆となりのお部屋だ!

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:なちこ | 作成日時:2021年3月2日 4時

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