大丈夫。 (ページ10)

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ICUから移動してきたら退院まではすぐだった

だいぶ長い入院だったから体力がかなり落ちてて

それを回復する為のリハビリを数週間

本当はもっと長い予定だったけど、

驚異の回復力だって先生から聞いた

本当に前向きになったんだなぁって思う。

毎回思うたび、ホッとする自分がいた

それだけ死にたいと願ってた伊野尾が目に焼き付いてるんだと思う

思い返せば、ここ最近で一番時間を長く感じた日々だったな

最初の頃は、ご飯食べなかったり、点滴引っこ抜いたりして大変だったっけ

あぁ、脱走しようとしてた事もあったか

あの時は本当に触れたら壊れてしまいそうって言うフレーズがぴったりだった

肺炎にかかった時も同じ事思ったかも

そん時は大丈夫、が自分を安心させる為の口癖だったな

でもいつの日か、死にたいなんて言わないし、

むしろ前向きに治療頑張るようになってた

嬉しい事だけど、未だに何でそうなったのか分からない

まぁいいか理由なんて。

今日退院できることになったんだから

薮「おい、きたぞー」

病室に行くと、もう片付けを始めている伊野尾がいた

慧「あ、薮、ありがとう」

パッと見て重そうな物から鞄に詰めていく

体力が回復したっていってもまだ本調子ではないからね

慧「あのさ、薮？」

薮「ん？なに？」

慧「手動かしながらでいいから聞いて」

そう言って伊野尾は話し始めた