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にこりとあどけない笑顔を向ける少年が、男一人を瞬く間に行動不能にさせたなど、誰が信じられるだろうか。
駆け寄ってきた鬱も、突如現れた少年に警戒の色を隠さない。
「えーっと、まずは助けてくれてありがとうな」
「なんのこれしき！ご主人をお守りするのが懐刀の役目です！」
「……そのことなんやけど、君だれ？」
途端、にこにこ笑顔だった少年の表情が曇る。
まるで捨てられた子犬のようで、トントンの良心をぐりぐりと刺激した。
「ご主人が、僕を見つけてくれたじゃないですか…」
「見つけたって、ほんまに知らんのやけど」
「僕を拾って、懐に入れてくれたじゃないですかぁ…！」
終いには顔を覆ってわっと泣き出してしまい、トントンはどうしたものかと鬱に視線を向ける。
向けられた鬱は、我関せずとばかりに煙草を吸い出した。
「ちょお待って、懐…？」
「はい！本体は今もご主人の懐に！」
「もしかして、これのこと言っとる？」
「そうです！僕の本体！」
思い当たる節があったトントンは先ほど一応の戦利品として頂いてきた、焼け焦げた刀を取り出す。
少年に見せてみると、なんとその焼け焦げた刀が自身の本体だと言うではないか。
ならば今さっき敵国兵と競り合っていた刃はなんだったのかと、腰元に視線を向けると、そこにはちゃんと短刀が収まっている。
トントンが向ける視線に気付いたのか、少年は短刀をするりと撫でると困ったように眉を下げて言った。
「これは、一時凌ぎで使っているに過ぎません。
なのでご主人が持っている方の本体を、手入れしてもらえませんか？」
撫でた端から輪郭を失ったかのように消える短刀に、トントンも鬱も目を見張る。
いよいよ少年の発言に信憑性が増してきたところで、二人はここが戦地真っ只中である事を思い出した。
慌てて拠点へと足を進める。
「詳しい事は戻ってから聞くから、君も着いてきてや」
「はい、ご主人！」
雛鳥のように着いてくる少年を引き連れて、トントンと鬱は軍基地へと引き返した。
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ハコ(プロフ) - 弥生夏さん» コメントありがとうございます。こういったタイプの主人公くんを動かすのは初めてなので、とても嬉しいです。ゆっくり更新になりますが、気長にお待ちいただけると幸いです。 (2020年6月28日 0時) (
レス) id: ad61983e44 (このIDを非表示/違反報告)
弥生夏(プロフ) - かっわいい！高評価あと50回くらい押したい！更新頑張ってください！応援してます！ (2020年6月26日 7時) (レス) id: 2f1398aac7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ハコ | 作成日時：2020年6月20日 0時
