【名探偵コナン】最強狙撃手決定戦とか聞いてない【ギャグ/赤井秀一】

#37 ページ38

「……何してるんです？」
「狙撃場所に印をつけてる」
「あ、そんくらいなら私やれますよ！任せて下さい！」


　私は直前まで穴が空くほど見つめていた地図を放り投げ、昴さんが持つタブレットに指を伸ばす。ト、ト、トと迷いなく画面を滑らせれば、即座に4つの点が地図に浮かんだ。


「出来ました！……でも、見るだけだったら別にこの紙の地図でも……ん？」


　話の途中で平面仕様だった地図が立体的に切り替わった。私がつけた点4つは高低差がついたものの、位置は変わらずだ。二本指で操作されれば、神様の視点みたいに自在に高さも位置も変化していた。


「よく見ていろ」
「？？──って、あれぇっ！？」


　昴さんがとある位置、正確にはフロントガラス越しに今見えているベルツリーを中心にして視点を広げる。するとあらビックリ！！一件目と二件目、三件目と四件目がそれぞれ横一直線で結べそうな程、高低差がピッタリ揃った状態になった。


「うわっ凄い、遠近法ですか？コレ」
「ああ……だが、この図はあれを中心にしないと成立しない。恐らくここで次の狙撃を……」
「あ、」


　昴さんの指が地図を映した液晶、ベルツリータワーの真上に触れる……と同時に、私は反射的に身を乗り出した。


「もしかしてこれ、サイコロの目の順でなぞると……！」
「ん？」


　夢中でタブレットに手を伸ばし、各現場に置かれたサイコロの目を思い出しながら指を動かす。昴さんは何も言わず見守ってる。
　四つの点を通過し、最後にベルツリーの真上で線を止めれば、一筆書きで描く星が現れた。


「っやっぱり、星型だ！」
「……なるほど、そういう事だったか」
「あのォ〜1人で納得してないで説明お願いできませんかねえ」


　ジトリと視線を送る。眉を下げた昴さんがやれやれと言いたげな様子で説明を始めてくれた。


「銀星章(シルバースター)だ」
「し、シルバースター？」


　説明を聞くには、アメリカ軍の将兵に贈られる栄誉ある勲章なんだとか。一連の事件はこれに関するいざこざが元凶になっている、だから復讐のサインとして用いたんだろう、と昴さんは予想を立てていた。


「……これで犯人、次のターゲット、一連の謎が解決した。Aはボウヤと連絡を取ったらこのまま俺の車に──」
「え、私行きますけど？」


　思わず自分の首が斜めにコテ、と傾く。それを見た昴さんはあからさまに「嫌な予感がする」と言いたげな顔をした。失敬な。


(……一応聞くが、どこに)
(決まってるでしょう、ベルツリータワーです！)

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