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「このまま一旦家に戻るが、何か必要なものは?」
「特には……どうしたんですその顔」
わざわざ歩調を合わせてくれている昴さんは私……というより、私の服装を見て首を少し傾げてた。気になってるらしい。
「……見覚えの無い服だ」
「コレですか?園子が揃えてくれたんですよ」
片手でピラリと服の裾を持ち上げると、昴さんが「ホー?」と話の続きを促した。
「前着てた服とかは血濡れの上に破れてたから着れなくて……困ってたら、ノリノリで買ってくれたんですよね。“良い服一式見繕ってやるわ!”って……」
──
【小一時間程前】
「フ〜ム」
「……アノォ園子サン……???」
蘭と園子が売店に向かう少し前。Aは背後から全身を舐め回すような視線を感じて、思わず振り返った。
「うん……よしよし、似合ってるわよA♡アタシのセンスはやっぱ間違ってなかったわね!」
「似合う──あ、服のことね、どーも」
Aの動きに合わせ、ブランド物のワンピースが優雅に形を変える。黒の中に締められた細身のベルトの赤もアクセントになり、靴と合わさって品のあるスタイルに仕上がっていた。
「園子のセンス云々は置いといて……服だけじゃなくて靴まで、ホンットありがとう!神崎A、この御恩は忘れません」
「いーのいーの大した物じゃないし。役に立てて良かったわ!」
椅子に座り深々と頭を下げるAに対し、園子はコンビニで駄菓子を奢った時のような軽いノリで答えていた。
……絶対に何かがズレているが最早治す必要性も感じないのでそっとしておこう。Aは脳内に浮かんだツッコミを口にするのをやめた。
──
「……という流れでありがたく着ています!」
「成程先を越されたわけか」
「???」
「車に着替えを用意していたんだが……ああ、大したことではないから気にするな」
「ど、どうもすみません……」
まあ超大財閥令嬢の園子の方からしても、本当に大した物じゃないんだろな。服はおろか、小物や靴に至るまで銘柄が“ガチ”ブランドだった気がするけど……(震え)
「着られなくなった分だが、代わりに新しい物を買うか?」
「え、ホントに全然いらないですからね??流石にこれ以上服が増えるのはチョット」
「そうか?」
昴さんと同様皆様お忘れではないだろうか。私の部屋の棚が有希子さんからのご厚意(物理)でギチギチであることを……
(ならば靴か。怪我が治ったら選びに行こう)
(アッ買うのは確定事項なんだ……?)
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夜鷹紫苑 - すげぇ、返しがプロってる (5月18日 1時) (レス) id: ae0632c942 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - やよい@サブ垢さん» 心停止報告大変助かりますありがとう安らかに…… (2021年11月30日 3時) (レス) id: a531cb8ac0 (このIDを非表示/違反報告)
やよい@サブ垢(プロフ) - ヴッ………(心肺停止)好きすぎて軽く鼻血が……(((( (2021年11月29日 21時) (レス) id: bc461f0e02 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - うさぎはっちさん» お疲れ様ですありがとうございます!ギャグだから許される文法なのでよく使ってますね!わかる人がニヤ…する程度でチマチマ小ネタ挟んでるので気づいてもらえると仕込んだ側としてもニヤリしちゃいますね…(私の全部受け止めて…) (2021年10月30日 1時) (レス) id: 8478d38e5a (このIDを非表示/違反報告)
さくら(ふぶきち)(プロフ) - たこやきさん» したり、でも公式台詞コピペはなるべく避けたかったので「まあギャグだし多少はええやろ」という傲慢な暴走含めておりますが本当に楽しいです。エッ イチバン 言質取っていいですか??(ボイスレコーダーを構える絵文字) クソ長キモリプ大変失礼致しました感謝…! (2021年10月30日 1時) (レス) id: 8478d38e5a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さくら | 作成日時:2021年7月26日 19時