【名探偵コナン】最強狙撃手決定戦とか聞いてない【ギャグ/赤井秀一】

#27 ページ28

「──いっ、ててて……」


　包帯が巻かれた足に体重をかけると、鋭い痛みで思わず背筋が曲がる。

　歩けない訳じゃないけど、やっぱ痛いな……。


「Aっ！」
「あっコナンくん。やほ」


　うずくまっている所に廊下がにわかに騒がしくなってきたと思うと、コナンくんが入ってきた。クソデカため息をついた後にズカズカと近寄ってくる。
　元気そうだし、私と違って患者服も着てない。これは無事と言っていいでしょ！


「いや〜無事でよかったよかった」
「オメーは無事じゃねえだろバーロ！寝とけっつーの」
「わわっ」


　コナンくんは無理矢理ベッドにグイグイと追い返そうとする。ほぼ片脚しか使えないのでロクな抵抗すら出来ず、ポスンと座らされた。


「全くも〜病人とかじゃないんだから」
「いや怪我人だろ……」
「こんくらいかすり傷、」
「じゃ、ねえだろ！どう見ても！」


　ビシリと包帯に指差されれば言い逃れが出来なくなる。ま、確かに掠ったにしては運が悪い掠れ方だよね。コナンくんは目の前であの大量出血見たんだから、そりゃ心配するか。


「はいはい……あ、そうだ真純ちゃんは？今どこ？」
「世良、は……」


　声が聞こえたのは何となく覚えてるけど姿は見えなかったんだよね。その前に気絶しちゃったから。

　聞いた途端俯いたコナンくんは、血で染まった服の袖を握りしめていた。


「！もしかしてその血」
「……俺を庇って撃たれた。さっき手術が終わったとこで」
「っ、病室は？何処！？」
「運ばれたのは406──って、おい！」


　コナンは病室を出ていったAを慌てて追いかける。廊下の手すりにしがみついて周囲の病室のプレートを見回していたAは、【406 世良真純】と書かれた部屋に飛び込む。
　部屋の奥には、血の気の失せた顔で眠る世良がいた。


「真純ちゃん……っ」


　重い足取りのままベッドまで歩み寄ったAは、へなへなと床に座り込む。首から胸にかけての包帯が痛々しく目に映っていた。


「Aっ……手術はもう終わったし、命に別状はねえ。安心しろ」
「……うん……」
　

　追いついたコナンは冷静に言葉をかける。そして世良が自分を庇って銃弾を受けた事や犯人がターゲットを殺害して逃走したこと、その後Aが目を覚ますまでの経緯を説明した。


「……悪かった。ターゲットも世良も、オメーも守れなくて」
「ううん、ありがと」
「は……？」


　予想外のお礼に目を丸くする。床に座り込み上体をベッドに預けていた彼女の瞳は、背の低い小学生の目からでもしっかりと映った。

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