七話 ページ9
side 水瀬
今日は雲も見えない快晴、気温は24度、湿度は、、、まぁ知らんけども
とにかく遊ぶのに最適で隣には白いワンピースに小花がちりばめられている服を着た天使がいるのに、あたしは朝から気分が悪かった。
「水瀬、どうしたの?」
元気ないよと首をかしげて話しかけてくるのは、先ほど池袋駅に待ち合わせをしていた小夜だ。(あたしは原宿駅、小夜は六本木で一人暮らしをしているため、遊ぶときは現地集合というのが暗黙のルール)
小夜とは高校に入ってから知り合ったものの、今ではすっかり気の置けない友人になっている。
今日はあたしのわがままで、実はコラボすると公式発表されてからずっと待ちわびてたラッププロジェクトのコラボカフェへ行っていた。
「んーん。なんでもない」
体調が悪いわけでもないし、そもそも誘った側のあたしが辛気臭い顔してどおすんだよ。
「それにしてもコラボカフェって初めて来たけど、なんかすごいね」
「でしょ?内装も凝ってるけど、メニューもコラボってるからね。しかも一つ頼めばランダムでコースターがついてくる」
「コースターって自分で買わないからこそ、もらうとうれしいよね」
「まぁ、もったいなくて使わないけど」
何それとクスクス笑う小夜は控えめに言って天女。
推しではないけど、この某ラップの大ファンなあたしは、メニュー表を眺めるより、小夜の笑顔に視線が向いていた。
これが親の顔が見てみたいってやつか
「わぁ、かわいい」」
運ばれてきたカプチーノにはキャラクターの絵が描かれていた。
こんなん食えるわけねぇだろ、家に持ち帰って永久保存しなきゃレベル。
「食べるのもったいないね」
「わかる」
「でも、冷めちゃうとまずくなるから」
そういった小夜は
無情にも、頭部分にスプーンをたて、かきまぜた。
天使じゃなくて悪魔だったわ
カプチーノだけでなくこころまでブスっと刺された気がしたあたしは、料理が運ばれてくるまでしばらく意気消沈した。
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作者名:sss | 作成日時:2022年7月19日 11時