SPARC

あらがいようのない……（k） ページ9

細くて
ふにゃふにゃ笑顔だった藤ヶ谷は
年を追うごとに
色気と男らしさを身に付けて

二十歳を越える頃には
とんでもない
フェロモン男子になってた

女の子は
たまんないだろうな……

男から見ても
うん。

格好いいと思う。


俺は結婚願望強いし
可愛い女の子だって
大好きだ！！！


なのに

なんで


コイツが一番良いんだろ？




ハッキリと
自分の心を自覚したのは
何時だったかな？

ああ…
あの時だ……






まだ肌寒い5月

そのグラビアは
夏の衣装で

白いシルクのタンクトップに
柔らかなシースルーのロングスカーフ

風になびく度に
首回りに軽く負荷がかかるのが
少し煩わしい


ただ
少し寒いけど
風は爽やかで

天気がよくて
空が目が覚めるほど
青い……

メンバーみんな
真っ白な衣装で
しかも
それぞれのキャラクターに合わせて
アレンジがきいてて

青い空と
前日の雨のせいで
煌めく草木の緑とのコントラストに

浮き上がるように鮮やかだった


その中でも
俺の視線を奪うのは
やはり藤ヶ谷で

細身の身体に
肌を極力隠すような衣装で
白いラフなジャケットを羽織り

最近お気に入りらしい
リンゴの赤いペンダントトップが
アクセントをきかせている


ハッと
我に返り

目を奪われないように
うつむいた



足元の草原の葉先が
俺のくるぶしをくすぐるのを

ただ見つめた


なぜ
おれば藤ヶ谷ばかり目で追ってしまうのか……

答えを求めてはいけない ……
身体がブルッと振るえた……


フッと視線を感じ

振り向けば

眩しそうな顔をした藤ヶ谷だった

『寒そうだね衣装……』

「やっぱ俺の衣装変だよな！だって！！！俺だけ！タンクトップだぜ？！さすがに寒くてさ！」

おどけてみせる



風になびく俺のスカーフに
藤ヶ谷は
一瞬かき消されて

なぜか
たまらなく寂しくなった

不覚にも
瞳が潤み…
…泣きたいような気持ちになった


眩しさ逃れて背を向けていた
太陽を振り仰ぐ

藤ヶ谷のしかめ面がわかる
日射し眩しいな……

泣きそうな顔を
藤ヶ谷に見られたくない……


カサリッと足元の草を踏む足音と
踏み潰された青い香りが近付いた


首回りのスカーフがくんッと軽く引っ張られて
その行方を追うと


スカーフの端に
口づけるような仕草をして
少し上目使いの藤ヶ谷の視線とぶつかった


跳ねあがった心音……
嗚呼……もう……逃げられない……


求めていない答えが鮮明に胸に落ちる……

「なんか…お前エッロ！！！」

誤魔化した…顔が熱い…

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