SPARC

あれからずっと（k） ページ8

【起きろ！！！
起きてよ！ミツ！！！】


「んっだよっ！！！うるせーなぁっ！！！」


【ほら！だからミツ起こすのヤなの！
こえーーーもん！！！】


『北山！出番だよ？起きなって。ニカがビビってんぞ。相変わらず寝起き悪いなぁ』


今では低く三半規管に響く
甘い声……

藤ヶ谷が見兼ねて声をかけてきたのだ……

たちまち
胸の奥がジワリと泡たつ……


「あ。藤ヶ谷？ん……ニカごめん。起こしてくれたんだ？サンキュ……」
あわててもたれた背中を起こし
まだ微睡みの余韻で
パッチリと開かない瞼を
拳にした手の甲でこする


タマが
小動物！！！
っていきなり叫んで
頭を撫で撫でしてきた


「うわ！もう！やめろよぅ……」

ジタバタ抵抗する俺に
更に
可愛い！を連発して羽交い締めしてきて
頭を撫で回すから

「タマ！いい加減にしろってぇ！わかった！起きた！！起きたから！！」


さすがに目も覚めたし！
なのに！

タマ！ズルい！！！って
今度はニカが抱きついてきて
ニカ！！ズルい！！！って
ニカに千賀が抱きついて

俺は
埋もれちゃうぞ！！！
お前らが
毎回そうやって
ジャレつくから
俺は地面にめり込んじゃうんだってば！！

宮田が
＜小さなカブ＞昔々……なんて
児童書の大きなカブをもじって
ナレーションを付け始めたら

悪ノリして
ますます
ギュウギュウされて！

「ギブ！！ギブ！！！ごめんなさい！！！起きます！つか！もう起きてます！！！」

騒ぎを見つめてた
藤ヶ谷はスッと背を向けて
横尾さんの所に向かった……




あの頃のような
無邪気な藤ヶ谷は
このところ
影を潜めて

すっかり
大人の対応で

相変わらずワチャワチャな俺は
たまに自分のガキっぽさに
落ち込んだりするんだけど……




それにしても
懐かしい夢を見たな……
可愛かったんだよなぁ……藤ヶ谷も。




もう俺たちはいい大人ってヤツだ……


そして
変わらず
胸の奥がシュワッと弾ける……



その答えらしきものは
すでに
理解していた……


口には出せないけれど……
今も……そしてこれからも……

あらがいようのない……（k）→←眠りの縁（k）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す