SPARC

言い訳…（k） ページ47

『……北山……』
藤ヶ谷が俺の事…抱き締めてくれる

ニカが抱き締めてくれた
恭平が抱き締めてくれた
それでも
おさまらなかった
痺れるように痛い泡の吹き出る傷口に

淡い温もりが染みていく

背中に腕を回したいのに
怖くて動けないんだ

浅ましい………

皆を傷つけておいて
自分は………
そう思ったら………
泣いてる自分が
とてつもなく嫌らしく思えて……

呼吸が……

「………ぁ………ぅ…ぅ」
涙と鼻水でただでさえままならない呼吸が

出来ない

「ふ………じ…が……」

『北山！………ゆっくり！ゆっくり呼吸して……過呼吸？！今何か袋！』

抱き締めてた腕が緩み………

離れてく！！！！

「い……や……そば…に……いて……こわ……」

浅ましい本音がまた…………

『！！！わかった！わかったから！ゆっくり息して？！』

藤ヶ谷が優しく抱き締めてくれた

『ほら………こっち向いて…はな…ちーんして？ああ…顔涙でグショグショだ………』

まるで幼い子にするみたいに
ティッシュで
はな…拭いて
仕舞いには自分の服の袖口で
俺の涙を拭った

背中を緩やかなリズムで
トン…トン…トン…って
優しく叩く手は止めないで…
根気よく…

それに合わせるように
治まっていく息苦しさ………

「藤ヶ谷………ごめん…も…大丈夫………」
頭の奥からジンジンしてる

今日の事が
頭を駆け巡る………

「………俺……何だか…いっぱい有りすぎて…何が何だかわかんないや……」

『うん。』

「でも………きっと皆に嫌われた………」

『え？！そんなこと……』
「嫌われたの！」

「好きになっちゃいけない人……好きになって…辛くて……ニカが心配して抱き締めてくれた……それを見て…誰かが傷付くなんて………考えもしないで……ニカの大事な子…傷付けてニカも傷付けて……玉も宮田もすごぅく怒って……」

また涙が溢れてきた

藤ヶ谷は
静かに頷いて聞いていた

「どうして良いかわらなくなって……ウロついてたら……恭平が…俺が泣いてるって……おいでって………部屋……入れてくれて……きょう…へ…優しくて……甘えた…抱き締めてって………でも…なかなかしてくんなくて… でも…どうしてもって…仕方ないなって…ギュッてしたら………横尾さんの香りがして………俺……なんかショックで… ……よろけたら……恭平がとっさにかばってくれたけど…ソファーに…そしたら……横尾さんが怒った………」

藤ヶ谷は
俺の背中を優しく叩きながら
悲し気に俺を見詰めた……

タイミング（m）→←どうしようもなく……（k）

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す