SPARC

行く先の行方も……（k） ページ30

胸の奥から
競り上がってくる
弾けるような
苦い恋心……


弱った瞬間に
優しくされて
ニカに甘えてしまった
そして
こぼれ落ちた
藤ヶ谷への思い……



それが
こんなに
まわりを傷付けたこと


理解すればするほど

何も言えなくて
なんて言えば良いのか
わからなくて


俺の恋心は
すべて
否定された気もするし


健永を
泣かせてしまったという
事実にも
愕然として



良く考えたら
藤ヶ谷にも
横尾さんが居るのだし


信じられないくらい
たくさんのことが
瞬時に頭を中を駆け巡った


何をどう説明しても
言い訳にしかならない
何から話していいかもわからない


謝るしかできなくて
身体が震えた……



玉の真剣な表情……
苦しさを耐えるような
瞳の奥が潤んでいて


スッと
挙げられた右手が
頬に吸い込まれるのが
スローモーションに見えて

避けることもできたはずなのに
そのままに
受け止めた

思いの外強い痛みと
勢いで傾いた身体を
立て直す
気力もなくて


「……ごめん……」


繰り返すしかできなかった




怒りと
やるせなさを
たたえた
瞳にさえ見捨てられて

目眩がする……



玉……ごめん……


宮田から
差し伸べられた手のひらを
つかもうとして
途中で止めた……

なんだかんだ言って
宮田もお人好しで優しい


また……甘えてしまうの？そう思ったら……

失敗を繰り返してしまう
そんな気持ちが沸き上がり
躊躇して
差し伸べられたその手に
素直に触れることができなかったんだ……




自分の力で立ち上がらなくては
そう思った



さらけ出してしまえたら
楽だろうけど
楽なのは自分だけだ……


「ごめん……」


それしか
言えなくて

さらに
玉を傷つけている……



どうしていいか
わからない

答えない俺に
しびれを切らして
立ち去る
玉森と宮田の背中を
呼び止めたくて

でも
出来なくて……



ひとり……

立ち尽くした……



どうしようか？


どうしたら……いい？……



喉の奥で
飲み込みきれない
呼吸が

胸をひきつらせる……







嗚呼…………



ねぇ……



誰か……









助けて……



世界が揺れる……

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