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冴との出会いを振り返ると自分の人生の惨さが浮き彫りになる。それでもこの人生でなければ私は冴とそれから凛に出会うこともなかっただろうから、そういう意味で憎みはすれど白紙にはできないものだった。


私の父親は本当にくだらない人間であった。働きもせずにギャンブル、酒に浸かり放題。その金はどこからくるのかというともちろん母親。毎日パートに明け暮れていたその姿は私には小さく頼りないものに見えたが小学生の私にできることなんてなかったのだ。
始めはお金をせびる父親に母親も抵抗していたが父親が殴る蹴るを繰り返していくうちにそんな無駄な抵抗はしなくなった。私の幼少期はというと、金を渡した所で結局次は酒に溺れて暴れ狂ってしまう父親のとばっちりを喰らわないように毎日耳を塞いで縮こまるというなんとも惨めな過ごし方であった。それでもたまに何が気に食わないか知らないが父親は目ざとく私を見つけては母親と同じように私に暴力をふるっていた。


家に帰りたくないからという理由で学校帰りは河川敷でぼーっとして、日が沈んでいくのを待つような子どもだった。身体には傷があったし如何にも何かありますが全面に出ていたからか友達はあまりできなかったし、いたところで自分の境遇との差で気が狂っていただろうからきっとそれが正解だ。

日の沈む様をぼんやりと見守って、このまましんでしまいたいと思っていた。

そんなときに声を掛けてきたのが冴だった。
足元に転がってきたサッカーボールを転がして返そうと思ったら寄ってきて「なにしてんだ」と今より表情を露わに彼は言った。


「……な、にもしてない」

「いつもいんのにか。俺のサッカー、見てるかと思ってた」

「ちがうよ。……、…日が沈んでいくのを見てるだけ」

彼がいつもそこでサッカーをしているのは知っていた。一人の時もあれば弟らしき子と一緒にいる時もある。ボールに触っている時の顔が楽しそうで、それが私にはやたらと眩しく感じられた。目を細めて見るような存在が私の元へ何の気の迷いかやってきて、ふぅんと気のない返事をしたかと思えば私の横に腰を降ろす。


「え、…な、なに?なんで、」

「気になったから」

見てみようと思って、なんてサッカーボールを足元に置いて空を見上げる。

自分だけの世界の中にいきなり現れた冴を、私は宇宙人か何かだと思っていた。それくらいに冴は変だったもの。…放っておいてくれれば、よかったのに。

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いろは - めちゃめちゃいいところだ、、、!更新待ってます!頑張ってください! (2023年3月10日 20時) (レス) @page11 id: d047947d5b (このIDを非表示/違反報告)
M - 続きの話待ってます。頑張ってください (2023年2月7日 20時) (レス) @page4 id: 56a51bd1b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:國枝 | 作成日時:2023年2月7日 16時

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