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「………酷い顔、」

朝起きて、顔を洗いに鏡を見たら凄まじい顔をしているもんだから乾いた笑いが溢れた。冴にも凛にも見せられないなと思って、もう見せることもないということに気付いた。


昨日冴と会った後、凛とたまたま出くわして年上として不甲斐ないくらいには慰められた。きっと、凛に慰めるといったつもりはなかっただろうけど。…勝手に少し救われて、落ち着いたのは事実だった。感情が溢れ出すのを凛は特に急かすこともなく待って、わたしがからっぽになったら家まで送ってくれた。​──彼も、冴と何かあっただろうに。


冴のことはある程度理解できていると思っていた。否、思い上がりの可能性の方が今は高いけれど。突然の別れは、こんなこと起こらなければいいなと思っていた通り最低なもので、いざ突き付けられてみるとしにたくなった。


冴のいない生活、どんなだっけ。

歯を磨きながら、そんなことを考えた。冴がそばにいなくても4年は案外生きていられていた、と思う。連絡があったのもそうだし、向こうで頑張ってる姿を思えば自分だけが彼に固執していられないとも思ったからだ。

今回はあのときと違う。そばにいないだけじゃない、私と冴を繋ぐものは何もない。恋人として冴の特別を享受することは、もう一生ないということだ。



「……いきていけるかな、」


いきていかないと、いけない。

けど、もういきていたくないと思った。



冴が私をいらないといった理由は分からないけど、離れた先で冴の根幹を動かすような何かがあったのは薄らと察していた。それはそれまで守られていた連絡が少しずつ疎かになったり声の覇気がなくなったり、些細なところに現れていて。今思えばその時点で綻んでいたのかもしれないと、本当に今更ながらに思う。

それでも、いつかは話してくれると疑っていなかった。私が欲しかったのは、冴からの信頼だった。他の誰でもない私を自分の傷を見せるに値する人間だと思って欲しかった。不安や恐怖や孤独を分かち合える存在になりたかった。でもそれは冴本人がそうと決めることで、私が無理矢理口を割らせても泣き落としても何の意味も無い。待つしかなくて待った結果、冴は私と離れる道を選んだ。


心の中で音を立てて砕けたものが、冴に対する自信だったということを知っていた。私が冴に必要とされるに足る存在だと信じていた気持ち。心。壊れたそれは、もう元に戻ることはきっとない。


悲しくてこれから真っ直ぐ歩けるかも不安なのに、その結論に至った今気持ちは凪いでいるのだから不思議だった。


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いろは - めちゃめちゃいいところだ、、、!更新待ってます!頑張ってください! (2023年3月10日 20時) (レス) @page11 id: d047947d5b (このIDを非表示/違反報告)
M - 続きの話待ってます。頑張ってください (2023年2月7日 20時) (レス) @page4 id: 56a51bd1b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:國枝 | 作成日時:2023年2月7日 16時

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