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「仕事サボって 感傷に浸ってんの？」
君のくぐもった笑い声
その体勢のまま わざとぶっきらぼうに答える
「サボってねぇよ。今から職員室に戻るとこ。そういう君こそ何やってんの？」
「会議前のちょっと一服」
そう言って白衣のポケットを探る君
流石に生徒も使う渡り廊下で
煙草はまずいだろうと君を見れば
瞬間、口の中に広がる柔らかな甘さ
君の指先が黙らせるみたいに触れて離れる
「琥珀糖？」
「懐かしいでしょ？実家から送って来た。全くいつまでも子供扱いなんだから」
そう言って君も一つ口に含んで
指先に付いた蜜を唇で拭い取る
相変わらずの変わらない仕草に
あの日の少年がひょっこり顔を出す
しばらく二人 並んだまま
崩れていく風景を静かに見守っていた
やがて終了時間が来たのか
機械音が止まり、辺りにチャイムが鳴り響く
君はそれを合図に静かに口を開いた
「なくなっちゃったね」
「あぁ 何か呆気ないもんだなぁ」
「寂しいね。あれから行きづらくなっちゃったし」
「……まぁ曰く付きになったからな」
僕は君の白い包みから琥珀糖を一つくすめる
げっ、また日桂が当たった
眉を顰める僕に君はちょっと笑って呟く
「曰く付きにしたバチが当たった」
「えっ？僕のせい？」
「君が勘違いして突撃したから、僕はバランス崩したんだもん。全然、大丈夫だったのに…」
「おい！君が意味深なのが悪いだろ？あの状況で勘違いするなって方が無理だって」
互いを言い合う声
ヒートアップするかと思えば
顔を見合わせて、吹き出してゲームオーバー
とどのつまりのあの日の顛末
君は天鵞絨の幕を使って
アクロバットを決めようと企んでいた
僕は君が自棄を起こしたんだと思って
助けなくちゃと手を伸ばした
そしてバランスを崩し、舞台袖に落下
天鵞絨に包まれて落ちたのが不幸中の幸いで
僕らは少しの出血と骨折で済み
そのせいかどうか解らないけど君の転校は
消滅し、続いたのは変わらない日常
当然ながら秘密の場所には行けなくなり
永遠にあのままになった屋根裏
僕らの秘密の場所がなくなった分
絆は何故か深まった様で
二人ともこうして母校で教師をしている
…出来過ぎた話だ…
「新しく出来る講堂にも屋根裏あるみたいだよ」
「じゃあ、二人だけの秘密の場所にする？」
「先生も息抜きが必要だしね」
笑い声が共鳴して
もう一度、琥珀糖を放り込む
甘く辛い日桂があの日の思い出を
暗褐色に染めていった
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青山白樹(プロフ) - だんぼさん» (；ﾟДﾟ)何でその設定が解ったんですか？まさか女学生がだんぼさんモチーフだって事がバレてました？笑雨の日のお迎えって面倒臭いけど2人の距離が縮まる気がしますよね。雨に濡れると甘さを増す香りの中いつまでも優しく甘い2人でいて欲しいと願いを込めました。 (2019年6月29日 18時) (
レス) id: dc26697653 (このIDを非表示/違反報告)
だんぼ(プロフ) - 青っち〜天邪鬼で意地っ張りで、でもすごく分かりやすいあの子♪ 蒸し蒸しとした季節ですが爽やかなお話の贈り物 どうもありがとう♪ただひとつだけ心配なのは傘を貰った女子が腐ってたら…（笑）ガン見され尾行されてるかも〜2人ともッ背後に注意よ〜（笑） (2019年6月29日 13時) (レス) id: b513b55378 (このIDを非表示/違反報告)
青山白樹(プロフ) - やまさん» やまさんこちらにも感想ありがとうございます。雨で諦めてたピンクムーンを早朝見つけて朱鷺色に染まり始める空の中の月がほんのり染まった様に見えたんです。ピンクと言っても実際の色とは関係ないのですが。こんな場面なら小さな秘密もきっと特別になりますよね。 (2019年5月22日 10時) (レス) id: dc26697653 (このIDを非表示/違反報告)
青山白樹(プロフ) - やまさん» 素敵な感想ありがとうございます。昔近所に古い喫茶店が有り覗いたら意外に混んでいる店内に驚いた事があります。やまさんの話を聞いて思い出して書いてみました。ソーダ水頼んでもアイスを乗っけるそんな優しいマスターと何かが始まる予感を感じて戴ければ幸いです笑 (2019年5月22日 10時) (レス) id: dc26697653 (このIDを非表示/違反報告)
やま(プロフ) - そして、一つ前のお話も大変遅ればせながら拝読させていただきました。まさに桜月夜の宵！！桜色に染まる月の光を浴びる睦じいお二人に、胸がきゅんとします♪ (2019年5月22日 1時) (レス) id: 0f4c7ca2f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：青山白樹
作成日時：2014年10月2日 12時
