甘い甘い日常へと ページ44
「めう。彼氏できとるんかと心配したわ〜」
「彼氏死んでまうやろ、ソレ。まぁ、俺は太平洋の力で怒りを抑えられるけどね」
エーミールに続くようにわらわらと我々国の幹部が集結する
オスマンのぞっとするような視線が、しんぺい神の冗談で少し和らいだ
「ストライクゾーンがまさかの十歳なんて…広すぎやろ！」
「お前に言われたないなぁ。大先生。グリムかわいそうやろ」
「とか言っとるお前はロリコンやしなぁ。やっぱココの幹部ヤバいわ」
鬱先生がわなわなと震え、それにシャオロンがツッコみ、コネシマがさらにツッコむ
いつもの光景だった
「やっぱ軍曹が忘れられないんか？」
少し動揺気味にチーノが問う
「俺でよければ力になるよ」
白色の手袋に包まれた手を、ひとらんらんが差し伸べた
「暑いやろ？これかけとき」
そう言って自らのストール(夏用)を兄さんはグリムにかけた
特注で作られたそれは、通気性が良くどんな技術か知らないがひんやりしている
「良かった…連れ去られたとかやなくて」
心底安心したというように、ロボロがほっと息をついた
「俺のこと好きやないんですか？」
わざと空気を読まないふりをしてショッピ君がグリムを煽った
「こんな大人数ですんません。でも、俺らに連絡入れてほしかったなぁ？」
トントンが一言謝ってから、圧をかけた
思わず苦笑いを零してしまう
「さぁ、帰るゾ。言い訳は後でたっぷりと聞いてやる。
甘い夜を過ごそうじゃないk…嘘、嘘です！つまらない冗談ですよぉ。嫌だなぁ」
グルッペンが失言をしそうになると、ほかの人達から一斉に殺気が飛んだ
それがあまりにも日常的過ぎて、グリムは思わず噴き出した
幸せをかみしめるように、彼女は言った
「帰りましょう。私たちの日常へと」
すっかり暗くなった我々国に、その日は笑い声が響き渡った
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