解き放たれた ページ42
「ロボロッ！！」
「おー。来るのは分かってたで」
カタカタとものすごい速さでパソコンの画面をいじりながら
ロボロはグルッペンの方に見向きもしずに応えた
監視カメラで場内を見ていたロボロは、監視カメラのデータを細分化しているようだ
事情を知っているのも頷ける
「…。俺にはこれが何のことか分からんけど」
おずおずと差し出されたデータをグルッペン達はのぞき込む
そこには人間の目では見えない光だったのか、チーノが噛んだ瞬間に謎の光が写りこんでいた
チーノの瞳と同じ、ゴールデンイエローの光がグリムを包んでいた
それを見たグルッペンとグリムは確信した
「罪からの…開放」
グリムが茫然としながら呟いた
その罪のせいでグリムは普通に過ごせなかった
その罪をどれだけ恨んだのだろう
その罪を背負う覚悟はどれほどのものだったのだろう
肩の荷が下りたことが原因なのか、グリムは大きな反応を見せない
だが、心の底から喜ぶべきことだった
それを全て見透かしたかのように、現在監視カメラに映っているチーノの瞳は
真っすぐと二人を見据えており、意味ありげに微笑んでいた
「私は、この能力に囚われない？誰かを愛してもいいの？」
「えぇ、貴女は自由なんですよ。本当は、生まれた時からそうあるべきだった」
どういう理屈かはわからないが、チーノがいつの間にか泣いているグリムの肩を抱いていた
友人として、敵として、グルッペンよりも長くグリムにかかわっていたチーノの瞳は、
純粋な笑みの時にできる笑顔のように細められていた
我が子を見るような愛と、異性としての愛を複雑に入り交えたその瞳が、
グルッペンを彼女から少し遠ざけた
妙な静けさが、辺りを包む
「私、誰かを愛することから隔絶された世界で生きるんだってッ！ずっと思ってて！
でも、こんなに嬉しくて、悲しい事なんてあるの？私は、軍曹に罪を償わなきゃいけないのに。
でも、今を生きたいって叫んでいる自分が居るんだ！！」
「…。グリム」
グルッペンが優しく声をかける
ようやく自分の望みを教えてくれた、弱い少女に向かって手を指し伸ばす
嘗ての自分がそうしてもらったように
嘗ての自分がそうして欲しかったと願ったように
「俺の仲間になれ。もう強制はしない。自分で決めるんだ。
…お前は、この手を取ってくれるか？」
その言葉に、グリムは笑みを零した
「ッ！ハイル・グルッペンッ！！！」
涙をぬぐって、少女はまた歩み続ける
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