戦争屋の動揺 ページ31
我々国side
時間は少し遡る
ゾムがグリムに突き放されたすぐ後の話
ゾムは右耳についているインカムを通話状態にして叫ぶ
「グリムが逃げた！原因は分からへんけど今は追いかけん方が良い気がする！どうしたらええ！？」
＜ちょっと待ってや…アカンわ。インカムのGPSも反応なしや。会議開いた方がええんとちゃう？＞
ロボロが真っ先に反応する
ピコピコと機械音独特な間抜けな音が高速で鳴ったと思うと、
その後すぐに‘ビー！’と不快な音が鳴った
おそらくその音はERRORを意味するのだろう
＜…とりあえず会議室に集合だ。仕事は…まぁ、うん。後に回すゾ＞
グルッペンの指示が入ると、インカム越しに聞こえるのは走る音とドアを乱雑に開ける音のみ
先程の発言はいつもならトントンが切れているところだったが、文句の一つも聞こえない
ゾムは何か引っかかりを感じたが、その答えが出る前に会議室に着いた
いつもの場所に座って、全員が集まるまで待つ
「…集まったみたいですね」
エーミールが暗い表情をあからさまにしながらトントンに報告した
別に報告しなくても分かることなのだが、
トントンの挙動が可笑しいことに気付いたエーミール自身の判断だった
「あ、うん。せやな。えと、ゾム報告してくれへん？」
説明を促されたゾムは詳細の説明をする
話が進むにつれてそれぞれの反応が分かれていく
「後、軍曹って言っとった」
【軍曹】という単語に過剰な反応を示したのは三人
オスマン、しんぺい神、そしてグルッペンだ
(何でグルッペンが反応する？オスマン達は昔からの知り合いやでわかるけど…。
それにトントンもおかしいよなぁ)
脳内で考察をしていく
ゾムは隠された真実に気付くために周りの音をシャットアウトする
考察は苦手だがゾムは勘が鋭い
野生の感に近いようなものだ
(グルッペンと軍曹は何か別の理由で知り合っていたっていうのが妥当やな。
グリムを狙ったのもちゃんとした理由があったのか？)
考えれば考えるほど出てくる無限の可能性
一つ一つ消去していって残った線は四本
・軍曹という人物が二人いる
・軍曹とグルッペンは裏で繋がっていた
・グルッペンが一方的に軍曹の事を知っていた
・グリムの知り合いはオスマン、しんぺい神だけでなく、グルッペンも含まれていたが、
何らかの理由でグリム達は覚えていなかった
「可能性だけ、提示させてくれへん？」
ゾムはその四つを全員に提示した
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