気を取り直して ページ26
「ゴホンッ…で、では真剣に会議するゾ」
先程のグリムの暴れぶりを見たグルッペンは、声を恐怖で震わせて言葉を発した
気分を窺うようにグリムの顔を覗いたが、グリムはグルッペンと目を合わせなかった
その様子にしんぺい神が笑い声を発した
「で、夏祭り何やるん？」
トントンがグルッペンに問うが、グルッペンは机に項垂れたまま動かない
「…決めといてくれ。できれば戦s「却下」…だよなぁ」
口を動かしたと思えば、出てくる単語は戦争ばかり
その案は兄さんによって却下される
ショッピ君が挙手をして、まともな案を出した
「じゃぁ、鬼ごっこしません？」
ショッピ君によると、幹部が鬼になって、国民と兵士たち全員が逃げるらしい
逃げきれたら景品を付けて、ついでに兵士の体力作りもできるという一石二鳥な企画
国民とは親交も深める事ができるので、幹部に対する悪いイメージを無くす事もできるかもしれない
かなりいい案だ
「それ、逃げ切れる人居るん？」
鬱先生が素朴な疑問を投げかける
その質問に全員が黙った
(いや、そこは手を抜くとかないのか？)
そうグリムは考えたが、このメンバーに手を抜くという概念すら存在しないのを悟った
内ゲバにも手を抜かないその光景は、もはや尊敬すらできるのだ
もちろん、尊敬するのは一部の狂人のみだが
「…まぁ、大丈夫でしょう」
エーミールが少し間を空けてから答えた
このメンバーの中では一番運動が出来なさそうだが一般人よりかは遥かに運動能力は高い
ただ、長年のタバコや煙管の煙のせいで肺が弱く、長距離走は苦手だ
鬱先生にもこれは当てはまる(というか鬱先生の方がひどい)
「まぁ、他に案無いんやったらええんちゃう？」
コネシマがあくびしながら言葉を放つ
他の人たちも飽きてきたようだ
グリムはその光景にため息を吐きたくなるが、自分も暇になって来たので特に何も言わなかった
「では、鬼ごっこをするか」
いつの間にか復活したグルッペンが決定を下した
全員がそれに頷き、今日は解散となった
他の人は訓練所に行ったり自分の部屋で仕事をしようと戻って行った
(鬼ごっこかぁ。夏にやるとか蒸し焼きにするつもりかな？)
会議中半分寝ていたグリムは、人より遅れて会議室から出ていこうとする
「あ、待ってくれ」
グルッペンが声をかける
その声にグリムは反応するか迷うが、子供の様にいつまでも反応しないのは違うと思い振り向いた
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