復讐鬼との仕事 ページ15
雲一つない広大な空
太陽が照りつける炎天下の日
ひとらんらんとグリムは、動物達の世話をしていた
水を補充したり、動物の体を洗ったりと意外と忙しい
「暑いよ〜」
ひとらんらんはそんな愚痴をこぼしながらも、どこか楽しそうだ
グリムは汗を拭い、ひとらんらんに忠告した
「私達も熱中症で倒れないように注意しないとですね」
訓練をしているので、よほどのことがない限りそんなことは無い
しかし、それは倒れてしまったらこの狂人しかいない城内でからかわれることは確実であることも
示している
グリムはゲラゲラと笑う二匹の狂犬とサイコパス、総統が頭の中に浮かび、顔をしかめた
「あー、そうだね。俺たちもすっかり夏服かぁ」
ひとらんらんはそう言ってグリムと自分の腕を見た
今までは長袖だったが、すっかり肘までの丈になっている
「ひとらん様はマスクを外されないのですか？」
しかし、そんな中でもひとらんらんはバッテンのマークが入ったマスクを外さない
グリムはそれが気になり、ひとらんらんに聞いた
「あだ名に様って…フフッ」
どうやら面白かったようで、ひとらんらんは座り込んで笑った
「え、ちょっと笑わないで下さいよ」
「いや、ごめん。いつか様もなくしてよ」
「善処します…じゃなくて！なんでマスクをされているのですか？」
ひととらんらんは立ち上がり、グリムの方をじっと見た
東洋人特有の黒の瞳がグリムを貫く
「そんなに俺の顔見たい？」
グリムの耳に口を近づけて、ひとらんらんは囁いた
吐息が耳にかかりくすぐったいのか、グリムは肩を揺らした
ちらりとひとらんらんの方を見れば、マスクを指でずらしていた
「…それでは見えません」
グリムが不満そうに言えば、ひとらんらんはクツクツと笑った
グリムからはちょうど死角になっていて見えない
「じゃぁ、こっち向いて？」
言われるがままに向けば、ドアップでひとらんらんの顔が映し出された
あまりの近さにグリムは少し体を仰け反らせるが、ひとらんらんがそれを許さなかった
「どう？予想どうり？…あれ、顔真っ赤じゃん」
いじわるそうな笑みを浮かべて、ひとらんらんはグリムをじっと見つめる
グリムは目をそらして、ぼそりとつぶやいた
「意地悪」
「グリムはかわいいなぁ」
そういってひとらんらんは頭を撫でた
グリムはひとらんらんに見返したくて、爆弾を投下した
「あ、ひとらん。顔かっこいいね」
グリムの言葉に、ひとらんらんは顔を赤くさせた
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