医者との仕事 ページ14
「で、治してほしいと？」
「そうです」
グリムはトントンに粛清された次の日も猫耳が生えたままなので、
しんぺい神がいる医務室に来ている
しんぺい神は「うーん」とうなり、とりあえず猫耳を触った
「お！意外と本物に近い…。あとで大先生に聞きに行こう」
グリムは呑気なしんぺい神にイラつき、あることを思い出した
(確かここら辺に)
左手に持っていたファイルを開き、十数枚の書類を取りだす
「ぺ神。そー言えばトントン様がこの書類やってとか言ってたよ」
その書類は請求書でしんぺい神が買った薬草や薬品などのリストがあり、
それを見たしんぺい神は顔を青くした
グリムもちらりと見ると、請求が来ている会社がとても多く、振り込むだけでもめんどくさそうだ
間違った会社に間違った金額を送ると、多かった場合はともかく、
足りなかった場合はこれ以上取引ができなくなるだろう
グリムはニヤリと笑い、提案をした
「私が手伝ってあげるから、ぺ神はこれを治す薬を出してよ」
しんぺい神は少し悩んだ後から、しぶしぶその提案を受け入れた
(やった！)
グリムはうれしそうに笑い、しんぺい神が座っている席の向かい側に座る
書類を半分受け取り、別の紙に計算した金額を書いていく
すぐに終わりそうな作業ではなかったが、グリムにとっては猫耳がなくなるなら何でもいいようで、そんなこと気にしていなかった
「そー言えばさ、いつの間にトントンのこと書記長様って呼ばなくなったの？」
しんぺい神が聞くと、グリムは頭をひねる
「あー。なんとなくかな」
書類を整理しながら、グリムは言った
しんぺい神は腑に落ちないようで、「本当？」と聞く
グリムはそれに頷き、そこからは二人とも必死に書類を整理していた
========
「それにしたって取引先多すぎでしょ」
グリムたちは書類を終わらせて、ぐったりとソファーに寝転がった
しんぺい神は思い出したように薬を取り出し、グリムに渡した
「たぶんこれで治ると思う」
見た目はただの水のようなものを、グリムは喉に流し込んだ
ボフン
そんな音が鳴って、グリムの頭から違和感が消えた
「ありがとう。良かった罠じゃなくて」
「あぁ、そうすればよかった」
しんぺい神はそう言って別の薬を渡した
グリムはそれをキッとにらむ
「誰が罠だとわかってて飲むか」
鋭いツッコミを入れられたしんぺい神はそれでもあきらめず、トントンに呼ばれるまでこの会話は続いていた
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