〜四騎士と天司12〜 ページ12
「ここです」
女が案内したのはごく普通の家だった。罠を警戒してAが先行し、次いで女、ランスロットと進む。しかしその場所にはすでに誰もおらず、もぬけの殻となっていた。
「…逃げられたか」
「…あ、あったわ!この椅子に座らされて何かやられたの」
机に向かうと微かに魔力の跡が残っており、Aの顔が曇る。
「随分と高度な魔法だ」
「魔法がわかるのかい?」
「ま、普通の魔術師や錬金術師よりはね。カリオストロには劣るけど」
「それで…何の魔法なんだ?」
「チャーム…ウェールズにある術と似たようなもので、マリオット…人形だな。ようは意のままにっていう術だ。それを改変して感情を増幅させ、その感情を対象の者…つまりは僕に仕向けさせたってことだ」
「それでは、初めからAが狙われていたということか」
「そういうことだ。もしかしたら魔力に引き寄せられただけかもしれないけどな」
Aは一通り調べ終えると女のほうへと向く。
「ランスロット、これで不問でいいよな?」
「あ、あぁ…君がいいなら」
「よし…」
ランスロットの返事を聞いたAは女の額に手を当てると、魔力を流し込む。
「…何をしてるんだ?」
「魔法の痕跡と記憶を消したんだ。これで、ただの店の従業員に戻る。一時的に眠るけどね。数分もすれば目を覚ますだろう」
「す、すごいな…」
予告通りに眠った女をAが抱え、店に戻る。ちょうど目をさました女に適当に嘘を重ね、平和に店は再開する。
店じまいをした後、6人で再び集まりわかったことを報告する。
「んなっ…そんなこと誰がやるんだよ…」
「おそらく、あの魔力は幽世の連中だろうな」
「うぇ…あのニョロニョロか…」
「幽世の連中だと…?」
サンダルフォンの顔が明らかに変わる。そしてAも顔を曇らせる。
「おそらく、終末の時になしえなかったことをやるつもりだんだろうな。すぐにでも調べたいけど…」
Aが後ろを振り返ると、売り上げを計算するジャックが目に入る。
「はぁ…」
「なら、こうしよう。俺達が明日の営業を引き受ける。だからその間に団長達と話を合わせておいてくれ。店が落ち着いたら俺達も合流する」
「…ありがとう」
「それでは、すぐにでも戻るとしよう」
サンダルフォンは立ち上がると、焦った様子で姿を消すのであった。
「はは…あいつ、焦ってんな」
こうして不穏な空気を残しつつ、Aは船に戻るのであった。
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ミレン(プロフ) - よせふさん» おおお!ありがとうございます!家に帰ったらすぐ取りかからせて頂きます!もし気に入っていただければまたリクエストください! (2019年4月2日 11時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
よせふ(プロフ) - はじめまして、もしよろしければルシフェル様とサンダルフォン、主人公の3人が中庭でほのぼのしているお話が見たいです…!二人と仲良しな主人公が見たいです!ぜひ!!ご検討ください!! (2019年4月2日 1時) (レス) id: f12f54b1ee (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 大真面目にコメントください (2019年4月2日 0時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月29日 23時