Episode44 ページ45
「え…?どこ行っちゃったんですか…?」
「あ、あそこ!」
アバターへと舵を切った船の前方には、Aは浮遊していた。その羽は黒く染まっているが、Aは肩で息をしていた。
「まさか、あの一撃の軌道をずらしたのは…!」
わずかにずれた軌道のことを思い出し、Aに近づこうと船の上を走る。
「おい、戻ってこい!」
「Aさん!戻ってきてください!」
「…」
サンダルフォンとルリアの呼びかけに応答することはなく、フワフワと漂い続ける。サンダルフォンが腕を伸ばし、羽を顕現しよするが、マールートに阻まれる。
「今はこらえて!」
「離せッ!」
グランサイファーも急ぎ向かうが、突如糸が切れたかのように、羽が消失する。船は間に合わず、ハールートが全速力で追いつき、帰還をする。
「う…あれ…よかった…無事?」
「お前よりはな!…お前はなぜいつも一人で…!」
「だって…悔しいじゃん…空の…人の子ががんばってんのに…げほっげほっ…」
「もういい!今は休め…」
「大丈夫。強がりでもなく、なぜかそう思う。これは…ラファエルの力かな…?」
言葉通り、Aの傷は見る見るうちにふさがり、元通りとなる。
「…心配をさせるな」
「してくれたんだ…?」
「ク…」
「はわわ…サンダルフォンさんのお顔が、真っ赤ですよ!」
「ルリア…」
「ぐ…」
ルリアの発言にグランはサンダルフォンを伺うが、うなっただけで何も言わなかった。
「さぁ、行こう!空の世界を守るために!!」
グランの一言で全員の顔が引き締まる。
「良い風が吹いてる。このままヤツに向かって直進するぞ!」
「あぁ!次こそアイツをとっちめてやろうぜ!」
「君等も戦うというのか?その疲弊しきった身体で、黒き怪物と…」
「もちろんです!また一人でやろうとしないで下さいね?Aさんも!」
「だが…」
「君と私達の関係を考えれば、確かに複雑かもしれないが…今は、目的をともにしている。それに、お互いの力を必要としているはずだろう?」
「あたし達だって複雑だけど…今のあんたはちょっとは信じられる。それに、ここを切り抜けなきゃ全部おしまいよ!だから後で色々考えましょ!」
「さぁ、急ぎましょう。普通の星晶獣より再生が早いみたい。貴方達の与えた致命傷が無駄になるわ」
「災厄で一番の激戦区になった、アウギュステの攻防は忘れもしねぇ…あの時の根性を見せてみろ。だが今度はオレ達の隣でよ?」
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月3日 20時