Episode41 ページ42
船で対策を練る一方、サンダルフォンは気配を探り続けていた。Aと敵の気配を探る。そして、祈る。
「……」
「うん？あ、あの、サンダルフォンさん…？今、何か言いましたか？」
「……」
突如、頬に鋭い痛みとともに破裂音が響き渡る。
「いい加減にするんだ！君には君の事情があるんだろうけど、協力もせず呆けて何が新天司長だ！」
「継承した力が真に覚醒すれば、この状況も変えられるはずよ。複雑だけど貴方の協力も必要なの！」
双子の叱責に、サンダルフォンは表情一つ変えることなく、ただ静かにたたずんでいた。
「ま、待って！今は責めないであげて貰えませんか？大事な人の最期を見て心に傷を―――」
「…祈っていたんだ」
「うおっ！？いきなり喋ってビックリしたぜ…」
「祈ってた…？」
ルリアの問いに、小さくうなずく。
「冥福を。その魂の行き先を、俺なりに」
それだけ答えると、今までの状態が嘘かのように何かを探るように空を眺め、ある一点を鋭く睨み付ける。
「貴様等か…」
「お、おい、サンダルフォン！なんだぁ、剣を抜いてたぞ！？」
「まさかひろえいで…！危険です、私たちも一緒に―――」
サンダルフォンは、探り当てた気配のもとへ移動し、天司長の力を使い、黒衣の男へ一撃を与える。そこに意思はなく、ただ憎悪と憎しみに突き動かされた一撃だった。
「ちょ、おいおい…」
「フン…ルシフェルの力、さぞ心地よかろう」
「口を慎め、汚らわしい。あの御方の名を語るな。終わらせてやる、何もかも――」
ベリアルに狙いを変え、一撃を放つがかわされる。なおも攻撃を続け、責め立てる。
「あぁクソ、鬱陶しい奴だ…！おい、バブさん！いつまで休んでるつもりだよ！？あ？オイどこに行ったんだ、あのおっさん！ま〜た空の底に落ちたのかよ…」
「安心しろ。貴様も後を追わせてやる」
「ハハハ、イキリ立ってるねえ。仇だの復讐だのってプレイに大興奮だ。だがどんどん鈍ってるぜ、キミの動き。慣れない力に自分自身が消耗している」
「そうか。では尽きる前に終わらせてやる」
「いいね、尽きた後に始めてやる。従順になるまで調教してやるよ。Aのように、ね…」
「なに…？」
「あぁ、そうだ。参考までに聞きたいんだが、キミって、ヴァージン？」
「はあぁぁぁ！」
「ハハハハハッ！」
Aがいないこと、ベリアルの言葉に心がかき乱される。両社攻撃を繰り出そうとするが、その間を何者かがさえぎる。視界が一瞬の暗黒に染まる。
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月3日 20時
