Episode27 ページ28
ルシフェルは、グランに向かい感謝の言葉を述べた。
「あ、あの…サンダルフォンさんと、Aさんは結局、どうなっちゃったんですか?」
「わたしのコアに還った。そうだな。なんと例えれば良いか…揺り籠から再出発すると思えばいい。だが、Aはその限りではない。あの子には…また別の仕事を渡そう」
「は、はあ…?」
「では、また会おう。君たちは君たちの信じる道を進め。いずれAもゆかせよう」
それだけを言い残し、ルシフェルは光となって消えていった。それに続き、四大天使もAと向き合う。
「貴様ら、此度の事は褒めて遣わす。いずれ武勇を競い合いたいものだな?Aのことは心配するでない。いずれまた会えよう」
「ウフフ…ミカちゃんったら。じゃあね、また会いましょう!」
「なかなか熱かったぜ、人間ども!お前たちとはイイ喧嘩が出来そうだ!」
「…汝らの旅路に、よき風を」
それぞれの天司たちは次々と消えていき、残された一行は唖然とするほかなかった。
――――
数日後、目を覚ましたAは異様な空間にいた。何の気配もない、いやに懐かしいその空間は、Aの心を揺さぶるには十分だった。
「…ここは、中庭…はないな。なんだこの空間は」
起き上がり、歩き回る。時間という概念のない空間で過ごし、ようやく記憶が戻る。
(そうだ…サンダルフォンが吸収されるのを防ごうとして…なら、ここはルシフェル様のコアの中…?いや、違う…なんなんだ、ここは…)
しばらく歩き回ると、建物を発見する。そのそばには木が植わっており、赤い実をつけていた。
「これは…珈琲…?」
「そうだ。君はこの赤い実が好きだったね」
「…ッ!?」
急に声をかけられ、思わず後ずさる。そこに立っていたのはサンダルフォンだった。
「そう驚くこともない。君が一緒に飛び込んできたんだろう」
「それはそうだけど…いつから目がさめてた」
「君が起きる少し前かな。いくら揺すっても起きないから放っておいたのさ」
「そう…か」
改めて対峙すると、かつての友人は何ら変わらない姿でそこにいた。何も変わらない顔で、何も変わらない声でいることに安心するが、同時に災厄のことも頭によぎる。
「…どうした」
「いや…」
「まあなんでもいいさ。どうやらルシフェルはここにずっと俺を閉じ込めて贖罪させる気らしい。確かに、永遠をここで過ごすのは辛そうだ」
「…」
「君は出たければ出ればいい。方法を探すのは手伝うよ」
「…僕は」
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月3日 20時