Episode25 ページ26
「A!?」
「よう、助けに来た…はずだったけど…悪い…」
Aは、グランの姿をとらえたのち、体力を振り絞り追いつくことに成功する。だが、先の戦いとなれない力に体力はそう残っておらず、上昇する体力は残ってなかった。
(…これじゃ、意味ないなぁ。助けるって…思ったのに…あいつに、誰も殺させたくなかったのに…)
方向感覚すら失い、自由落下にあらがえずにいる。グランも、察したらしく何も言わなかった。
(鳴動させるのを防ぐのが仕事…?指名…?役割…?そんなもの、クソくらえだ…また、あの方と、サンダルフォンと中庭で笑えればそれでよかった…それだけで――――)
突如、体に力が戻る。先ほどまでの力ではなく、闇の元素。
「なんだっていい、世界なんかクソくらえだぁぁあああ!」
大きく叫び、羽を顕現させる。突然のAの行動に驚くグラン。その瞬間、二人の頭の中に声が響いていた。
(…これは、大いなる存在…)
特異点としての覚悟を問う質問にグランははっきりと答える。
『…天の子よ。そなたは、何故そこまでして戦う』
「もう一度、笑うため…みんなで、笑うためだ!」
『フン、やはりあまりに稚拙な覚悟…だが、ゆえに伸びしろはある』
突如、世界が大きく反転し、光景が一変する。
『人の子と天の子よ。そなたたち、このわしに進化を見せてみよ――ッ!』
瞬間、閃光が広がり、目がくらむ。
「―――てっ!起きて!」
「…ん…はっ、ここは…さっきの…」
ルリアたちにゆられ、目を覚ますとそこは岬だった。仲間たちとの再開を喜びつつ、サンダルフォンに向き直る。
「はははっ!いいじゃねぇか、そんなこたぁよ。生きてりゃそういうこともあるさ」
「ふふふ、そうね。二千年の御仁でもわからないようだし?」
ロゼッタの言葉で全員がサンダルフォンに注目する。
「…なぜだ!?」
「大いなる咆哮は成った!確かに世界は鳴動した!なのになぜパンデモニウムは開かない?何か別の条件がいるのか…?あるいは俺の時と状況が変わった…?なぜだ、なぜだ、なぜだッ!?」
「喧しい。いよいよ万策が尽きたようだな」
「ブン殴って黙らせるか?もう今は手加減しねぇと、一撃で死んじまうのが癪だけどよ」
「放っておきましょう。でも確かに彼の疑問はきになるわ…運が良かった、で片づけられる話?」
「…考えられる可能性は一つしかない」
「そう…だな。あの方なら…」
突如、空の底から光の筒が上がる。そこからは一人の男が現れた。
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月3日 20時