Episode19 ページ20
(くそ…なぜあいつを生かしている…?必要だからか。いや、違う…くそっ!)
自分の感情に説明がつかず、いらだつサンダルフォン。本来ならAの羽を奪っていればすべて簡単にいくはずだった。
(あいつが、俺を友と呼ぶから…!)
Aを抱き上げ、ルリアのもとへ連れていく。タイミングよく、ルリアは目を覚ましていた。
「御機嫌よう。君は気を失っていたんだよ。…っと」
「あ、あなたは…!Aさん!?」
「珈琲は飲めるか?悪いが、砂糖はないぞ。本当はこいつにも飲ませようとしたんだが…」
「い、いいです…それより、ここで何を…」
「俺が、俺達が造られた場所だ。かつて星の民の研究所があった。だが、蒼の少女か。まさかこんな姿形をしていたとは。姿かたち…?私の事を知っているんですか…?」
「君よりは。だが創生神の思惑など、俺には関係のない事だ。もうじき空と星の物語が終わり、天の世界の新たな神話が紡がれる。そこに俺はこいつと行くのさ」
「そ、そんなこと…!私たちの物語は終わりません!それに、Aさんだって…」
「…ふぅん?」
ルリアの主張を面白おかしくきくサンダルフォン。同時に、少しのいら立ちが芽生えていた。
「グランはすごいんです!あなたの思い通りにはさせません!」
「だが奴は来る。俺の思惑通り、ここにね」
「……」
「まぁいいさ。では、また後で。君はここで泣いているといい」
「な、泣きませんよ!」
「フ…Aに起きたら伝えておいてくれ。下手な真似をすれば仲間の命はないとね」
「うぅ…グラン…ビィさん、みなさん…」
つい、寂しさから涙がこぼれそうになる。サンダルフォンが立ち去ったと同時に、どこからか声がする。
「…ルリアちゃん」
「え?あ、ロゼッタさ―――」
「しっ…安心して、もうちょっとの辛抱よ。必ず解放してあげるから」
ロゼッタとルリアの会話を、物陰からサンダルフォンは聞いているが、二人は気づかなかった。
「……」
少しの間をあけて、団長、ミカエル、ガブリエルは土の島、ルーマシーへとたどり着く。そして、そこには約束通りサンダルフォンとルリアがいる。ミカエル、ガブリエルはどんな結末であろうと、進化の行く末を見守ることを宣言し、団長はサンダルフォンを倒すために来たと宣言し、サンダルフォンもまた、ルシフェルのはるか上を行くと宣言をする。
「フン、なんなんだよ!ルシフェル、ルシフェルってよ!お前は結局ソイツの事ばっかだぜ!」
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月3日 20時