Episode18 ページ19
目を覚ましたAは、懐かしい場所と気配に、顔をゆがめた。
「…目を覚ましたか」
「サンダルフォン…ッ。っ！ルリアは！？」
急ぎ探しに行こうとするAを、サンダルフォンが押さえつける。
「無事だ。まだ目を覚ましていない」
「ふ…なんで、こんなこと…」
「君ならもう、わかってるんじゃないのか」
サンダルフォンの問いに、Aの動きが完全に止まる。
「…そう…だな。だって、僕が初めに言い出したこと…だから。でも、こんな風にやろうなんて…」
「君と一緒に新世界を見ようと思ったが…」
「なんで、そこまで僕に…」
「そう…だな。強いて言うなら、君だからだ」
「…は？」
「役割のない者同士、ここで過ごした時間は楽しかった。常にルシフェルの何に役に立つかを考えていたあの時間は…」
サンダルフォンの顔がわずかにゆがむ。だがすぐに表情を戻し、Aの腕を拘束する。
「なっ…」
「君は今や俺に唯一対抗できるやつだ」
「違う！ルシフェル様が…僕なんかじゃ…」
「君は気づいてないのか…？あのミカエルが渡した羽の力を」
「…羽？」
羽を顕現させる。すると、自らの羽の色ではない極彩色の羽が現れる。
「…なんで…」
「あらかじめ、空っぽのきみの羽に元素を組み込んだのだろう。それでは俺も扱えない」
「…なら、殺す方法だってあるだろ？唯一、死のある天司なんだから」
「まぁ、そうだな。だが、ルシフェルの大切にしていた君を目の前で殺された時の顔が見たい」
「嘘だ。…そんなこと思ってない。顔に出るのは変わってなくて安心した」
「…お前に俺の何がわかる」
「しるかよ…それこそお前は僕の何がわかる。失敗作だといわれ、捨てられる運命にあった僕の」
「…お前が？」
「そうだ。お前たちの叛乱がなければ、僕は死んでいた。お前に僕の羽を渡して…」
「なっ…」
「僕の役割、あるんだよ…あったんだ…僕が本当は、スペアだった！だけど、何かの以上で創造主は失敗をした。だから僕を破棄しようとした…けど、ルシフェル様は僕を助けてくれた」
「お前が…スペア？」
「あぁそうだよ！だから言っただろ！？知ってるって！」
Aの慟哭が大きく響く。同時に、Aの羽が顕現する。
「くそ、やはりお前を先に何とかするべきだった」
「なら殺せよ！お前ならできるだろ！」
「断る！お前も空の世界など捨ててこっちにこい！」
「それこそ、お断りだ！…っぐ！？」
「残念だよ。もう少し眠るといい」
「サン…ダルフォ…」
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月3日 20時
