Episode16 ページ17
「くそ、やはりお前は厄介だな。ルシフェルといればよかったものを」
「それは…お前もだろ!?」
「伏せろ、A、ガブリエル!この一撃に賭ける―――――ッ!」
ミカエルが攻撃を放つと同時に回避する。渾身の一撃は敵を倒すには十分な威力ではあったが、余波が収まるころ、相手は傷一つなくたっていた。
「フン…貴様、だったか…天司長の直属…サンダルフォン…!」
「ミカちゃん!」
「ハハハ…羽も無き身で無理をする。微妙に死ぬかと思ったよ。だが、御覧のとおり無傷だ。君らの羽が、体になじみつつある」
「サンダルフォン…ほとんど面識はなかったわね。あの当時、研究所で何をしていたの?」
「…く…」
「何も。強いて言えば、肉体を維持していた」
「役割がない…?A以外にも…そんな天司、聞いたことがないわ」
「おっと、役割はある。…捨て駒を役割と呼ぶのなら」
「そんなこと…誰も思ってない!!事実、お前が知ったのと同時にルシフェル様も知ったんだ!」
「捨て駒…?」
別の場所でルリアを探すグランは天司たちの争いに、なぜか入っているAに首をかしげる。ただの星晶獣だという割には、まとう空気の威圧さ。
「…Aも、天司なんだ。きっと、彼らと渡り合うほどの…」
「な、なぁ…あいつ、なんか様子が変じゃないか?さっきから、嫌に苦しそうだけどよぅ…」
それぞれお互いにけん制しつつ、話をすすめている。研究所の悲惨さ、捨て駒という無力さ。
「そう…じゃあ貴方の事を天司長様は…」
「待った。もう質問に付き合う義理はない。質問で時間を稼いでどうする?」
「…ッ!すごいわね、もうバレちゃったの?」
「今の俺は、ルシフェルと同等だ。元素単位で力の高まりがわかる。君に勝ち目はないぞ?」
「そう?でも貴方は羽のある状態の天司とまともに戦った事はないでしょう?」
ガブリエルの挑発に、サンダルフォンはのらず、余裕の笑みを浮かべるが、突如ガブリエルが笑顔になる。
「隙は作るものよ。…ねえ、ミカちゃん?」
「痴れ者がッ!よほどお前よりAのが強いわ!!」
「…ッ!?天司が死んだフリかよ…!」
「今だ、ガブリエル!」
「はあぁぁぁッ…!」
ガブリエルの羽は顕現し、力が集まる。だが、それはサンダルフォンにむけられたのではなく、自らの羽を破壊するためのものだった。
「ガブリエル…大丈夫か!?」
「平気よ、A。あなたが今思ってることを考えれば…」
「――ッ」
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月3日 20時