Episode14 ページ15
先ほどの一撃でAは気を失ってしまう。
「武勇を誇る天司の仰臥…なんと恍惚とする光景だ」
「がッ…！」
ミカエルの腹を思い切りけり上げる。
「なっ…なんで蹴って…しかも、さっきは殴って…あんた、女性になにやってんだよ！？」
「いいね。嗜虐趣味に目覚めてしまいそうだ」
「がはッ…！」
「屈辱か？血と泥にまみれた顔も一興だぞ」
「…」
楽しんでいるともいえる攻撃に、硬骨な表情を浮かべている。
「絶えたか。羽がなければ所詮は――」
「ハッ…喧しいわ、痴れ者め…何を企んでおるのかは知らぬが、貴様の目論見など天司長の―――むうッ！？」
「もういい。地を這う天司は島ごと消し去ろう」
「…ッ！？」
「やってみろ…火の元素あるところに妾もまた在る。貴様ごときに滅ぼせると思うなよ」
「なんとかなるさ。話せてよかった。では――彼女だけはもらっていくよ」
Aをだきかかえ、去ろうとした男の前にスタンが立ちふさがる。
「ま、待てよ！」
「うん？まだいたの、君」
「う、うるさい！ずっといたよ、無視するな！」
「失せろ小童…すでに人間の範疇の問題ではない…」
「はぁ！？あんたもかってなこというな！島ごと消すとかなんとか…そんなの放っておけるわけないだろ！？」
大きな力の脈動に、思わず男はAを手放す。そのすきにミカエルはAを救出する。
「ん…ッ」
「貴様…？本当に、人間か…？」
スタンからあふれる力を押さえつけるべく、男も力を放出する。気づいた時には男はおらず、三人が取り残されていた。
「…ミカエル…さっきのは…」
「無理をするな。妾たちが羽を預かっておる。そなたもまだ万全ではなかろう」
「な、なぁ…あんた、団長のとこの人だろ？」
「あぁ、そう…だな」
「しかし、小童よ。ほめて遣わすぞ。あの男を退けたのだからな」
「あ、おい！？」
抱きかかえ、子供をほめるかのように撫でまわす。
「ミカエル、よせ」
「なぜじゃ」
「人の子はもろいのだ」
「こやつ、本当に人の子か？」
「竜の血が流れてるんだ。もとは人も子だ」
「そうか」
そこへ団長が現れ、いろいろな誤解を解きながら次なる目的地を定める。ガブリエルのもとへと向かうべく団長とともについてきていた少女の家のつてで移動することにする。
「しかし、そなた…ずいぶんと弱ったな」
「忘れたのか。羽は今は２枚しかないんだ」
「そうだったな。双子に聞いたぞ」
「くそ…」
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月3日 20時
