目覚めるとそこは ページ27
なーんか、暑いなぁ
頬に、サラサラと何かが当たる感覚。
パッと目を覚ますと、目の前のには鏡。そこに映る自分を見て、唖然とした。
『は…はぇ!?』
「あ、起きた〜おはよぉ」
『お、おはよぉ…』
「シャンプーでもドライヤーでも起きひんとか、相当疲れてたん?」
起きた私を鏡越しに確認すると、手を止めずに毛先をくるくるにする作業を続けるヤスくん。思ったより爆睡してしまっていたことよりも、驚くのは自分の頭。
『か、髪の毛…色が…』
「やーかーら、諸事情や言うたやろ」
『諸事情…って』
私の髪の毛は、金色なのか茶色なのかよく分からないくすんだ色味から、しっくり馴染む違和感ない茶系の色味に染め直されていた。私が使っていた諸事情を、そっくりそのままお返しされた。
「よし、完成!」
ケープやらタオルやらの装備を外して、鏡越しにヤスくんと向き合う。私の鎖骨よりやや長いくらいの毛先を綺麗に巻いてくれて、数分前の自分とは別人のように感じた。
「いかがですか?」
『あ…ぇと、大満足です!』
美容師さんみたいに聞いてくるから、一瞬戸惑ったけど素直に答えた。鏡越しにヤスくんを見ると、今度はヤスくんがハッと一瞬で我に帰った顔をして、そのままヘタリと座り込んでしまった。
「…はぁああ……、力抜けたぁ…」
『だっ大丈夫!?』
「なんや…勢いで、ごめんなぁ」
後ろを振り返るけど、椅子に座ったままだからしゃがんでいるヤスくんの頭頂部しか見えない。それが焦れったくて、椅子から立ち上がりヤスくんの前に同じようにしゃがみ込んだ。
『ヤスくん、お顔あげて下さい!』
「…いやや」
『ええ!なんで!?』
「あかん…俺、めっちゃかっこ悪いやん。情けないから、見んといて」
『そんな!寝てる間にこんなに素敵に大変身させてもらって…こんなことできるヤスくんは、一番かっこいい!!!』
かっこ悪くもないし情けなくもない。
何をどう感じてヤスくんがそう思ったのかは分からないけど、私は今感じていることをそのまま伝えた。今日は、素直になるって決めてるから。
『ありがとう』
ヤスくんが、私のために何かをしてくれたことが、ただ嬉しくて。
会うまではあんなに緊張してたのに。言いたいこと、言わないといけないことたくさんあったのに。まず最初に伝えたいと思ったのは、この言葉だった。
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蒼乃碧(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました!そして…完結おめでとうございます!コメントを拾って下さって本当に嬉しかったです! (2020年2月12日 21時) (レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
おゆ(プロフ) - ゆんゆさん» ゆんゆさんコメントありがとうございます!無事完結することができました^ ^ (2020年2月12日 20時) (レス) id: c48463ca18 (このIDを非表示/違反報告)
おゆ(プロフ) - みきさん» みきさん!毎回更新の度にコメントして下さってありがとうございました!わたしも最後まで更新できてうれしいです…!!!引き継ぎどうぞよろしくお願いします^ ^ (2020年2月12日 20時) (レス) id: c48463ca18 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完結おめでとうございます!主人公のこと大好きなヤスくんが読めて嬉しいです!今後の作品も楽しみにしています! (2020年2月12日 7時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます!読めるだけで嬉しいです。続きも楽しみにしています! (2020年2月3日 7時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おゆ | 作成日時:2019年8月4日 0時