どういうつもり？ ページ21
青side
「…あ、きた」
昨日、あれから結局連絡できひんくて。
まじで女々しい自分に嫌気さしてくるけど、会えばなんとかなる気がする。はよ会いたい。今はそれだけ。
逸る気持ちのままに、いつもより早く家を出た。
約束して決めたわけではないけど、いつもアイツが立っている待ち合わせ場所に向かう。そこには先客がいて…
「おはよ、ヤスダ」
まさかの、田中さんやった。
田中さんの手元には、見覚えのあるちっこい鞄。水色のチェック柄のそれは、Aがいつも渡してくるお弁当が入っているものと同じだった。
「おはよぉ…あの、Aは？」
「諸事情で来れない。私が代理でコレ持ってきた」
「は？諸事情って…なんかあったん？」
「は？心配してんの？」
寝坊？いや、弁当作ってんやからそれはないな。
じゃあ熱か？体調悪いのにわざわざ作ったんか？そんなせんでええのに…なんかあったんやないかって、心配になった。そんな俺に疑うような眼差しを向ける田中さん。
「私、ヤスダのこと正直よく思ってないんだよね」
「は…」
「今まで散々、Aのこと大切にせずにぞんざいに扱って、基本ほっとくくせして離れてかないように飴と鞭使い分けてさ…どういうつもり？」
「っ…」
返す言葉もない。Aの身近な存在に言われた言葉が、一個一個胸に刺さった。客観的に見た俺は、こんな風に見えてたんやって、気付かされた。
「…今までアイツにしてきたことに関しては、反省してる」
「反省？滝行しても丸坊主にしても許したくないくらい最低。ほんと有り得ない。泣かせるまで気付かないとか遅すぎ。てか今更反省とか遅すぎ。ふざけてる。だいたいチビだし。二重人格ってか腹ん中黒すぎるし。全然いい男じゃない。ただの自己中野郎」
「…ひどい言われようやけど…受け止めるわ…」
ちょっとばかし、田中さんの主観入りすぎやないか？と思ったけど。俺が責められるんは仕方がない。これからがあるなら、素直になりたい。変なプライドもなんもかんも取っ払って、素直に。正直に。
「……俺、ちゃんとAが好きやから。泣かしたことも、今までしてきてしまったことも、許してもらえるまで謝って、向き合いたい」
「はぁ…ほんと、言いたいことは山ほどあるんだけど」
盛大なため息をついて、俺に弁当を差し出す田中さん。
「アンタみたいなクソ最低野郎を、正義の味方なんて言う子なんだから…マジで大切にしなさいよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 636人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蒼乃碧(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました！そして…完結おめでとうございます！コメントを拾って下さって本当に嬉しかったです！ (2020年2月12日 21時) (
レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
おゆ(プロフ) - ゆんゆさん» ゆんゆさんコメントありがとうございます！無事完結することができました^ ^ (2020年2月12日 20時) (レス) id: c48463ca18 (このIDを非表示/違反報告)
おゆ(プロフ) - みきさん» みきさん！毎回更新の度にコメントして下さってありがとうございました！わたしも最後まで更新できてうれしいです…！！！引き継ぎどうぞよろしくお願いします^ ^ (2020年2月12日 20時) (レス) id: c48463ca18 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完結おめでとうございます！主人公のこと大好きなヤスくんが読めて嬉しいです！今後の作品も楽しみにしています！ (2020年2月12日 7時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます！読めるだけで嬉しいです。続きも楽しみにしています！ (2020年2月3日 7時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おゆ | 作成日時：2019年8月4日 0時
