ファーストインプレッション ページ17
青side
地味で、大人しそうで、真面目そう。
Aに抱いた第一印象な。
俺がクラスの真ん中におるとしたら、Aは端っこにおるような子で、高2のクラス替えでおんなじクラスになって、はじめて存在を認識したくらいに接点はなかった。
「(ヤバ…熱、あるかも)」
高2の文化祭。正直、この日は朝から体調が悪かった。やけど、卒業していく先輩らと演奏できるんはこの日が最後やったから、絶対休みたくなくて。
自分が所属しとる軽音部のバンド演奏は夕方からやけど、クラスの模擬店のシフトもあるし、気だるい体に気づかないふりして朝から学校に行った。
「最終日がんばろうぜーーー!!!」
「おん、がんばろうな〜」
「ヤスがいると他クラの女子めっちゃ来るもんな〜」
「そんなことあらへんよ〜」
やる気満々のクラスメイト。
叩かれる背中の痛みも、肩を組まれる重みも、普段の倍に感じてしまう。体調が悪いと主張することもできるけど、帰れと言われる恐れもあるからそれはできん。
お客さん来る前の準備中しんどくなって、みんなの目盗んで教室のベランダに出てしゃがみ込んだ。
バレへんように。いつも通りに。
そう心がけてたし、誰にもバレてなかった…はずやった。
『や、安田くん…!』
声をかけられたことに驚いて顔をあげると、同じようにしゃがみ込んで座るアイツがおった。
『よかったら…これ』
周りにバレへんようにコソコソ小さい声で話しながら差し出されたんは、アクエリとなんかの錠剤、ちっこいサイズの水。
「なんで、これ…」
『ち、違ったらごめんね?
朝から無理してるみたいだったし、おでこに手当てたりしててしんどそうだったから…薬は、合わないのがあるなら飲まない方がいいかもだけど、頭痛と熱には効くやつだから』
差し出されたものを見て、さらに驚いた。
見透かされてる?ってくらい当たってることも、仲ええヤツならまだしも、クラスメイトの1人くらいでしかなかった子に気づかれたことも信じられへんくて、無言になってしまった。
『やっぱり違った?ご、ごめんなさい…』
「あ…や、合うてる!わざわざありがとう。ありがたく使わせてもらうな?」
不安そうな顔して引っ込めようとした手を掴んで、差し出されたものを受け取る。
『…よかったぁ…』
あんときのホッとしたように笑う顔が、
頭に残って離れない。
はじめてアイツの笑顔を見た日。
Aとの接点が生まれた瞬間やった。
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蒼乃碧(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございました!そして…完結おめでとうございます!コメントを拾って下さって本当に嬉しかったです! (2020年2月12日 21時) (レス) id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
おゆ(プロフ) - ゆんゆさん» ゆんゆさんコメントありがとうございます!無事完結することができました^ ^ (2020年2月12日 20時) (レス) id: c48463ca18 (このIDを非表示/違反報告)
おゆ(プロフ) - みきさん» みきさん!毎回更新の度にコメントして下さってありがとうございました!わたしも最後まで更新できてうれしいです…!!!引き継ぎどうぞよろしくお願いします^ ^ (2020年2月12日 20時) (レス) id: c48463ca18 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 完結おめでとうございます!主人公のこと大好きなヤスくんが読めて嬉しいです!今後の作品も楽しみにしています! (2020年2月12日 7時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 更新ありがとうございます!読めるだけで嬉しいです。続きも楽しみにしています! (2020年2月3日 7時) (レス) id: d5b4f7ed9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おゆ | 作成日時:2019年8月4日 0時