First time 3. ページ23
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｢ありがと、すっかり忘れてた！｣
｢急いで行ってくる！｣
バタバタと慌てて
トイレに向かうのには理由があった。
今回の視察に来る社員の会社案内を
私が頼まれているからだ。
もともと地方に数年勤務していたし、
東京支社に来て１年。
この支社での勤務も
比較的安定してきたところだし、
別に断る理由も無かったので引き受けた。
そしてその海外勤務の視察員が来る時刻は
もうすぐそこまで迫っていたのだ。
｢ナナさんて、｣
｢仕事出来るくせにどっか抜けてるんだから…｣
なんて、後輩のぼやきが背中越しに
聞こえたような気がしたけれど、
今はそれに突っ込んでいる余裕も無かったので
それは後でお説教をすることに決めて
私は一目散にトイレへと向かった。
｢ああ、もう…｣
(こんな大事なこと忘れるなんて！)
トイレに着くなり、
周囲に誰もいないかを確認して
そんなぼやきが漏れる。
頭を掻き乱して息を吐いた私は
鏡で自分の表情を確認して
さらに溜め息が零れた。
何も期待なんかしていないつもりでも
無意識に浮ついた心は表情にまで
しっかり現れていて、緩む口元をきゅっと閉じた。
彼からのLINE一つに
すっかり浮かれてしまっていたことに、
我ながら情けなくなって…
だけど、こうして
トイレに来た理由は結局、こうだ。
｢……………。｣
(一体、どんなLINEを送ってきたんだろう)
逸る気持ちを押し隠して、
制服のポケットから取り出したスマホを
そっと開く。
やっぱり間違いじゃなかった。
本当に彼からLINEが届いたんだ、と
分かった途端に高鳴る胸の鼓動と
再びニヤついてしまう顔。
つまりはそう、
私がこんなに慌ててトイレに来たのは
どうしても彼からきたLINEの内容が
知りたかったからだった。
｢……っ、わ｣
(何か緊張する！)
ひとまずゆっくりしている時間も無いので、
余韻に浸る事も出来ないまま
LINEの画面を開けば表示されたのは
やはり彼の名前。
彼の名前を見ただけなのに
こんなにも胸が痛いなんて、
私は一体どうしてしまったんだろう？
その痛みの正体なんて本当は分かっているのに
まだ素直になれない自分が
もどかしいと感じながら必死に言い聞かせる。
彼は、ただのお隣さん。
それ以外の何でも無いんだ、と。
｢……………。｣
(頭では割り切ってるつもりなのに)
何かを高望みして最後に傷つくのは自分だけだ
有名アーティストグループのボーカルの
彼の気まぐれに付き合っているほど
私だって暇じゃない。
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りょう(プロフ) - 自分の読解力の無さの問題なのにコメントしていまいすみません。でもやよいさんの書く小説楽しみにしてるのでこれからも読ませていただきますね！ (2020年3月22日 2時) (
レス) id: 3ca46d0dcb (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - りょうさん» ご意見、ありがとうございます。なるべく分かりやすく文面には表記させてたんですが、確かに少し分かりにくい所もあるかと思うので極力改善させて頂きますね！ (2020年3月21日 9時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
りょう(プロフ) - 台詞前に人物名を入れてもらえれば嬉しいです！！読んでいてとても楽しいです、これからも頑張って下さい。応援しています！ (2020年3月20日 19時) (レス) id: 3ca46d0dcb (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - AYaさん» ありがとうございます！頑張って更新しますので、待っててくださいね(>_<) (2020年3月20日 9時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
やよい(プロフ) - ほくみなさん» 嬉しい感想くださってありがとうございます！壱馬くんと隼人、これからもバチバチなので楽しみにしててください。笑 宜しくお願いします！ (2020年3月20日 9時) (レス) id: d2cb7d4c05 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：やよい
| 作成日時：2020年3月17日 23時
