L O V E .

So what 4 ? ページ15

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「……ねぇ、｣


『ん、何…？』



にやにや、わざとらしく口角を上げて笑う彼の姿は
いつか私が彼にした仕返しに似ていた。
どうやら、まだ根に持っているようだ。



「私、あなたの"お姉さん"になったつもりは」


「ないんだけど…？」



あくまでも平静を崩さずに
こほん、と一つ咳払いをして言えば
彼は再び、はははっ！と声を上げて笑った。


そして、それからすぐに表情を硬くした彼は
私を軽く睨むように視界に捕らえて言った。



『俺だって、"君"とか"あなた"とか』


『そんな名前じゃないから』


ﾎﾞｿｯ..
『あんま、年下扱いすんなよ』



私の売り言葉を
見事に買い言葉で返して来た彼は
最後に小さくそう呟いてふんっ、と
顔を背けた。



｢……………。｣
(なるほど)



この前から上から目線で話してた事が
気に入らなかったのか。


でも、確か後輩の話だと
私の方が彼より２歳年上な訳だから
別に年下扱いしたって
変では無いと思うんだけど…


そう思いながら、
いつの間にかたどり着いた
マンションのエレベーターに乗り込めば…



『なぁ、ナナ…』


「……は？｣
(何、もう呼び捨て！？)


『って、呼んでええ？』



エレベーターに先に乗り込んだ彼の背中越し
聞こえたのは私の名前。
突然、はっきりした口調で発せられた名前に
私は分かりやすく動揺した。



『俺は、壱馬でええよ』


「ちなみにそれ、拒否権あるの…？｣



顔を合わさず振り返らない彼の背中を見つめる。
口を尖らせながらぼやき気味に言った一言に、
彼はゆっくりと上半身だけを器用に動かせて
振り返るとニヤリと、悪戯に笑った。



『無いに決まってるやろ、そんなん』


『当たり前やん』



口角を上げて、
にやりと妖艶な笑みを浮かべた彼を見て
また胸が鷲掴みにされた気がした。


悔しいけれど、
後輩が熱狂的なファンになる理由が
今日分かった気がする。


だけど、
悔しいから素直には認めてやらないんだ___




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