目が覚める数秒前

第31話 ページ31

でも．．．なんだろう。この感じは？


この星は、綺麗だ。堂々としていて、
見惚れてしまう…なのに…


―かなしい―


「ん？．．．あ、あれ？」


なんで、私.....


泣いてるんだろう？

心が揺さぶられる。
魂が叫んでる。


『今から、終わってしまう命が
あることを、私はしっているんだ。』と―


―あぁ、A―

―始まったね―


キィンと耳鳴りがする。

頭に直接響くこの声は、誰だっけ？


「…あ」


あぁ、また意識が遠のいていく。

前回に引き続き痛いなぁ．．．


―ふふふ。もうすぐ、会えるね―


頭に浮かぶ人物が、ニコリと笑っている
のに、こっちは苦笑いしか浮かばない。
なんで？って…嫌な予感しかしないから。


(えー。私は、会いたくないなぁ…)


痛みが強くなっていく中、
そっとため息をつく。

頭の隅に浮かんだ人物に
悪態をつきたい気分だけど。

どうせ、気が付いたら
忘れてしまうんだろうから。

せめて、倒れたくないと痛む頭を
押さえてその場で寝ころんだ。


「さあ、みんな。始まるよ．．．」


(本当は、嫌なんて…言えないけど。)


目を閉じた瞬間に浮かんだ
いつもの民宿『炎』の風景が
だんだん変わっていくなんて…
嫌だなあなんて…
この世界の誰にも言えない。

でも…


「私だって…」


ーみんなを守ってみせるー


そう決意をした瞬間、
私の意識は暗い所に引っ張ら
れていった。






((葉。))

((んあ？どうした、あんな？))

((Aが‥帰ってこないわ。))

((え…))

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