目が覚める数秒前

第30話 ページ30

さあ！着きました！

西岸寺！！

さすが、眺めが最高だね！

あの後「…そう」とだけ言って、
なんとなくシュンとなったアンナさんに
悶えつつここまで走ってきた私。

…ごめんね、アンナさん。

どうしても、ここで見たかったんだ。

そう思いながら、阿弥陀丸の首塚の隣に
腰を下ろす。低級霊は、刺激が強いからか
姿を表さないしいつもワイワイしている
墓場はしんと静かだ。

…ここは物語が始まった場所だから。

私もここから、スタートしたいと思って
しまったんだ。


「…！」


来る…そう感じた瞬間だった。
脳が揺れるような低くて大きな音が
耳を刺激する。


―…ドドドドドドドドドドド…―


「．．．っこれが。
シャーマンスターの一つ．．．″羅ゴウ″」


夜空に切り込みが入ったような強い光を放つ
星は、流れ星なんてちんけな物じゃない。

大きく、美しい星は、その体を見せつけ
るかのようにゆっくり夜空をわたる。


漫画本やアニメで見たものとは、
比べられないぐらいの姿に、
思わず開いた口が塞がらない。

第31話→←第29話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す