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「いつから？」
「…二日前、かな。」
ベッドの側のテーブルにスポーツドリンクの入ったグラスを置いて、タオルケットを首までかぶる山田さんを見下ろした。
いつもより、顔がだいぶ幼く見える。
心臓の脈が小さく跳ねる音が聞こえて、それが彼女に聞こえてないか焦って、慌てて視線を動かした。
「なんでもっと早く言わんかったん。」
「なんでって。風邪引いても人なんか呼んだことないし…。」
「ただの風邪引いたんと状況が違うやん。また何かあったら連絡してって言うたのに。」
「……大倉くんって本当に世話焼きだね。」
視界の隅にあった彼女は力無く目を細めて笑った。
また、心臓がそれに反応する。
「熱は？」
「…計ってない。計ったら負けたような気がするから。」
彼女の口からそんな子供じみた言い分が出るとも思わへんかったから、俺は驚き笑いを浮かべた。
「なにその意地。計らなあかんやろ。」
それでもやっぱりまだヘタレな俺は彼女の額に手を伸ばすことはできへんくて、
「薬は飲んだ？」
情けなく、違う話に逸らした。
「今日は、まだ。」
「食欲は？」
「…そんなに。」
「薬効かへんからなんかちょっとでも食べへんと。…パックのご飯は消化悪いから、おかゆでも作ろうか？」
「…おかゆ？」
「食べれる？」
「多分。少しなら。」
「ん。ほな作るから待ってて。キッチン、使ってもいい？」
彼女が頷いたのを確認してから、キッチンに立った。
静かな部屋の中に、たまに彼女が寝返りを打つ音と、コンロの火の音だけが聞こえる。
…世話焼きとか、そんなんちゃう。
ただ、確実に膨れ上がってきている心の中の何かが俺の判断力や理性を少しずつコントロールできなくさせていってるような気がして。
それが怖くもあり、新しいものに出会ったみたいで楽しくもあった。
これから、どうなんねやろう。なんて他人事みたいなことを思いながらコンロの上の鍋をじっと見守った。
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蒼 夢見子(プロフ) - 茜音さん» 茜音様、初めまして。有難いお言葉に胸が熱くなりました…後先考えずにがむしゃらに書いてしまった荒すぎる出来の中でふたりの互いに想い合う気持ちは一番慎重に書いたのでそう言っていただけてとても嬉しいです！こちらこそ読んでくださりありがとうございました^^ (2018年11月10日 23時) (
レス) id: d57fe18bd1 (このIDを非表示/違反報告)
茜音(プロフ) - はじめまして。あまりにも続きが気になって一気に読ませて頂きました。描写はもちろん、ヒロインと大倉くんのお互いを想う切実さが綺麗で、思わず息が詰まりました。とっても素敵なお話をありがとうございました。 (2018年11月9日 15時) (レス) id: c4843d23a9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 夢見子
| 作成日時：2018年8月7日 18時
