嘘をついていました。 ページ36
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しばらく歩いて、
通りの少ない夜道。
変に意識してしまうのは、どうして。
わからないけれど。
だけど、僕ね、
Aさんに謝りたいこと、沢山ある。
嘘、ついてたから。
一般人ですって言ったけど、
そんなことない。
JM『Aさん、』
名前を呼べば、
あなたは、黒い髪を揺らして、
振り向いて、微笑みを向ける。
それで、優しい声で、言葉を紡ぐんだ。
『なんですか、パクさん。』
その優しさに、
また嘘を重ねてしまいそうで。
だけど、嫌なんだ。
偽ったまんまなんて、
あなたに嘘をついたままだなんて。
嫌われてしまうとわかっていても、
知って欲しくて。
JM『あのっ、』
『はい?』
呼びかけて、また微笑んで。
その一つ一つの行動に、苦しくなる。
嫌になる。
振り回されてるみたいで。
でもね、僕。
JM『ごめんなさい。』
『なにが、ですか?』
JM『嘘、ついてました。』
なんて、話しても、
彼女は、Aさんは首を傾げていた。
今から話すことは、
僕が嘘をついて、
彼女と文通していたから。
知られたら、もうしてくれないのかな。
あぁ、それはいやだな。
でも、あなたに嘘をついたまんまってのも、
僕は嫌なんだ。
日本語で上手く話せる自信無いから、
韓国語で話すけど、
ちゃんと聞いてて欲しい。
JM「………………僕、会社員じゃないです。
それに、パク・ジミンはジミンでも、
人違いでもないし、ジミン違いでもないです。
知ってます、とか答えたけど、
僕は、
…………………僕の名前は、パク・ジミン。
4人のヒョンたちと、親友と、弟と、
アイドル、してます。
あなたに、逢いに来ました。」
マスクで表情はわからないけれど、
それでもいい。
知りたくない。
逃げ出したくなった足を、
必死に止めて。
あなたと向き合ったんだ。
どうしよう、嫌われたくない。
離れて欲しくない。
まだ文通していたい。
JM「っっ、だけど、
まだ僕、Aさんと文通していたいです。」
僕は、いつまでも子供だし、
みんなの言う大人になれてない。
そんな我儘をこぼして、
見つめていたのなら。
「………………私、
本当は知ってたんです、
あなたが、アイドルだってこと。」
にんまりと、笑って、
申し訳なさそうな声が、
鼓膜を刺激した。
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miz(プロフ) - もう、めちゃくちゃ良かったです!楽しみながら読むことが出来ました!! (2022年2月28日 1時) (レス) @page50 id: 6ed4b49dda (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - ジミンちゃんとの文通ときめきました/// ステキなお話ありがとうございます! (2022年1月3日 3時) (レス) @page50 id: 8832d32b96 (このIDを非表示/違反報告)
MA SAKA(プロフ) - お話素敵すぎます!続きを楽しみにしてます! (2021年11月29日 10時) (レス) @page41 id: d6bf311559 (このIDを非表示/違反報告)
Dtpnjtwtvmt(プロフ) - もう一言ですき!!!!! (2021年10月8日 14時) (レス) @page39 id: e5b6025cac (このIDを非表示/違反報告)
hkh(プロフ) - 楽しみに読ませていただいています。言葉の雰囲気がとても好きで、何度も読み返しています!これからもご無理のないペースで、素敵な言葉を覗かせていただけたら嬉しいです。 (2021年5月9日 19時) (レス) id: f9da484c95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ことり | 作成日時:2021年4月9日 11時