家族だから。 ページ48
「宇宙人じゃない」
お姉ちゃんが、たった一言。間髪入れずに否定した。
この反応は……エイリア学園にいた事は知っているんだ。
「ねえ、どうして私と一緒に暮らしてくれたの？」
お姉ちゃんへ聞けば、震えた声で、
「Aちゃんを初めて見た時に、絶対に守るって決めたの。ずっと、妹が欲しかった事もあるけど…」
タオルで優しく足を拭いてくれたお姉ちゃんは、そのまま薬箱を手繰りよせて、消毒液を染み込ませたガーゼで優しく傷口を拭ってくれる。
「わざわざ孤児院に来てまで妹が欲しかったの？」
「違う！孤児院にはいってないの」
お姉ちゃんが、悲しく笑えばお母さんが紅茶、入ったよと…いつもの穏やかな声で教えてくれた。
エイリア学園での日々は少しずつ思い出せたのに、この家にくる前後の記憶が欠落していて。
それを、思い出さないといけない気がして。
円堂くんとサッカーをした私は、何を思って消し去ったボールを再び蹴ることを選んだのかも…私は、思い出さないとならないんだ。
「お母さんがね…少しの間ボランティアでお日さま園にいたのよ」
「…えっ？」
びっくりして振り向けば、お母さんが眉を下げて笑った。
「その時、お姉ちゃんとAちゃんは出会ったの。覚えない？」
優しく頭を撫でてくれたお母さん。
私が居たのは…お日さま園っていう孤児院？
「無理に思い出さなくていいの。でもね、これだけは忘れないであげて」
「え…？」
お姉ちゃんをちらりと見れば、瞳が揺れて、優しく、微笑んで…。
「Aちゃんの事を大好きで、大切で、守りたいのは私達だけじゃないのよ。だから、思い出して上げて…いつだって貴方のことを守っていてくれた子を」
「……で、も…！エイリア学園には誰も、もう誰も…」
レーゼ…？
「さ、手当て出来たよ。お願いを聞いてあげるよAちゃん」
「ぁ…うん、あのね…」
ダイニングテーブルへ移動して、お母さんとお父さんに頭を下げて。
「修也くんの妹の…夕香ちゃんをしばらくここで匿って欲しいの」
「……勿論、任せて頂戴」
「本当にいいの？もしかしたら、宇宙人…来ちゃうかもしれないんだよ？」
「大丈夫よ、その時は返り討ちにするから」
お姉ちゃんが力をいっぱい笑ってくれて。
どうして、血の繋がらない私にここまでしてくれるんだろう。
無条件に信じて、力を貸してくれて。
頬を伝い始めた涙ごと、お姉ちゃんが抱き締めてくれた。
「家族なんだから、守らせてね」
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守羽(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます。すみません…手違いで先に続編を立ててしまった次第です。本日続編分まで合わせて更新するのでお待ち頂けたら幸いです。 (2022年8月19日 16時) (
レス) id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - この話の続きが気になってますが、パスワードがかかっており話が読めないのですが…… (2022年8月19日 9時) (レス) id: dac527e381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年8月14日 14時
