それは、私の。 ページ37
「びっくりしましたよ。姿を消した貴方が雷門に居たのですから」
優雅にお茶をのむお父様は、のどかに。
「それで、記憶が完全に戻ってもう一度離れる前に……円堂くん達、雷門と引き裂いたんですね」
「グランはよくやってくれましたよ」
「貴方にとって！私は必要なかったのに！どうして！！」
だから、何度も嘆いて、叫んで、喚いたんだ。
もう放ってくれって。
要らないら、構わないで。もう、捨ててくれればいいのにって。
「要らないとは言ってないですよ。君は最高の取引になってますから」
「……取引……？」
おや？知らないのですか？とお父様は、湯呑みをゆっくりと膝へ下ろした。
「豪炎寺修也、彼は雷門のエースストライカーですね」
「……それが…、」
予想もしない、修也くんの名前にびっくりして。
次に、何を言われるのか分からなくて、怖くて。
「正直彼は優秀なストライカー、困りますよねそんな人が地球人側にいたら」
だから、少しお力をお借りしたいと思いましてね。
研崎。と呼ばれたそのみ知らぬ男は
何も無い空間に、夕香ちゃんの写真を映し出した。
ど、うして……？
「少々、妹さんをお預かりしようとしたんですがね」
「どうして！！なんでっ！！」
やっと、やっと。
夕香ちゃんが目を覚ましてくれて、やっと、本当に心の底からサッカーを楽しむことができるようになった修也くんに、なんで。
なんで、そんな酷いことが出来るの……？
悔しくて、苦して。なんでこんな人、慕ってんだろう。
「ええ、まあ妹さんは少し手間取っていたんですが。君が居たので」
「……わ、たし……？」
すとん、と畳の上に座り込んだ。
研崎と言われた男はにっとりと笑って。
「あの日、病室で君を見かけたんです。直ぐに調べてAだとわかり、豪炎寺修也くんと親しい君を交渉材料に置いたんですよ」
公園で、修也くんが円堂くんに言った。
Aを頼む。
あれは、あの言葉は……。
あの時既に、修也くんは夕香ちゃんを守りながら、私を守りながら、
エイリア学園に、雷門の敵にならないために。
だから、お前とは戦えないって……。
とめどなく、押し寄せる自己嫌悪。
「お父様は……人の心がないんですか」
無言の笑顔を、まるで肯定してるような恐怖心が駆り立てられていく。
ここで、立ち止まってる場合じゃない。
私のせいで修也くんが、苦しむのは、それだけはだめだ。
大好きな修也くんの笑顔を私が、奪ってたなんて。
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守羽(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます。すみません…手違いで先に続編を立ててしまった次第です。本日続編分まで合わせて更新するのでお待ち頂けたら幸いです。 (2022年8月19日 16時) (
レス) id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - この話の続きが気になってますが、パスワードがかかっており話が読めないのですが…… (2022年8月19日 9時) (レス) id: dac527e381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年8月14日 14時
