決断。 ページ25
腕を掴まれ、モヒカンさんの胸元へ手を当てられれば。
紫の光がほんのり、淡く光る。
「アンタもこの力知ってるんだろう？」
「なんの、事…？」
ぐっと、手のひらを強く握り締められて、手のひらに…光の根源が痛く、刺さるように存在を主張する。
「エイリア皇帝陛下が望んでるそうだ、アンタの帰還を」
「私は！！そんな人知らない！！」
突き飛ばせば、悪魔が笑うように立ち去る。
私は…知らない。
「大丈夫か、A」
差し伸ばさた円堂くんの手が、怖くて。
「いやあ！！」
振り払って。
もう、嫌。
とめどなく、流れ込んでくる記憶。あの、忌々しい光に触れてから、ずっと脳がぐちゃぐちゃにかき混ぜられてるように、
大量の記憶が流れてくる。
しらない、こんなきおく、しらない。
わたしのきおくじゃない。
「A！！しっかりしろ、A！！」
「さわらないで！こないでっ！！もう、ほおって……おいてよ、」
円堂くんを突き飛ばして、へたりこんで。
震えることしか出来なくて、それでも、誰かの思い出をなぞるように
見たくもないのに、流れくる記憶。
「Aさん。しっかりして、Aさん。落ち着いて、大丈夫…大丈夫だから」
誰かに、抱き締められて、背中を優しく撫でられて。
大丈夫、大丈夫と背中を撫でる手が、お姉ちゃんみたいに安心して。
ずっと、小さい頃、お姉ちゃんがよく背中を撫でてくれた。
「ねえ、ちゃん…っ」
「古株さん、すみません。この子をキャラバンへ連れて行ってください」
「え、ええ。分かりました」
待って、お姉ちゃん。行かないで。
置いていかないで……、
力なく伸ばした手も、何も掴めなくて、意識と一緒に落ちて言って。
なんで私は、みんなと一緒に走れないんだろう、
なんで、私はいつも。
というか、私をここへ連れ出した理由は、エイリア皇帝陛下からの帰還を望まれたから。
帰還……？
どこへ、かえるの。
.
目を覚ませば、キャラバンの中で。
古株さんがまだ皆は試合中だと教えてくれた。
瞳子監督から目が覚めても真・帝国学園には入れないよう言付けされていること。
窓に触れて、大きな、船を見つめた。
「ねえ、古株さん」
「ん？」
「……私、雷門に居る意味ありますか？」
びっくりしたような古株さんと目が合えば、ゆっくり笑った。
「いる意味は必ずある、なんでまた…」
扉を開けると、潮風が頬を撫でていく。
今なら分かる、瞳子監督がどうして私を雷門へ置いたのか。
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守羽(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます。すみません…手違いで先に続編を立ててしまった次第です。本日続編分まで合わせて更新するのでお待ち頂けたら幸いです。 (2022年8月19日 16時) (
レス) id: d0d25ba477 (このIDを非表示/違反報告)
マナ - この話の続きが気になってますが、パスワードがかかっており話が読めないのですが…… (2022年8月19日 9時) (レス) id: dac527e381 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：楸 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/hisagi/
作成日時：2022年8月14日 14時
