自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ27)

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そんなことない。ページ27

「そんなことないさ！/そんなことないよ！」

帰り道。
修也くんと、円堂くん、宍戸くん、風丸くん、鬼道さんと歩いていると、修也くんが突然変なことを言い出したのだ。

「あの三兄弟の言う通りだ。理由はどうあれ、俺はチームメイトを裏切った。木戸川のみんなに恨まれて当然だ」
「豪炎寺…」
「そんなことないって。お前はサッカーから逃げた訳じゃない。だから、恨まれる理由なんかない、そうだろ？豪炎寺」

円堂くんの言葉に力強く頷いて、修也くんの腕をしっかりと握れば安堵したような、円堂くんの言葉に落ち着いたように円堂くんの名前を。

こういう時、私は……なんて言ったらいいのかわからない。
どんな言葉を掛けたら修也くんの苦しみが拭えるとか、楽になれるとかわからなくて。だから、円堂くんが居てくれてよかったってすごく思える。

雷雷軒へ向かって各々席へ着く。
テーブル席に荷物を置いて座れば、向かいに修也くんが座って。すぐ後ろに円堂くん、鬼道さん。風丸くんと宍戸くんはカウンター席へ座って。

武方三兄弟のトライアングルZとの攻略について皆で話し合うけど、結局は練習することしか道はない。

「ん、美味しい。あ、修也くん」
「ん。」

味たまちょーだい。という前に卵が滑り込んできた。修也くんだんだん分かってきてる？

「A、お前な。毎回貰うなら注文する時に付けろよな」
「だって、忘れちゃうんだもん」

風丸くんから貰うんじゃないからいいじゃん、と頬を膨らませて素っ気なく視線を逸らせば、修也くんにティッシュを渡される。
ついてるぞ、と。これは、恥ずかしい。

「ご馳走様でしたー！」

また明日、とそれぞれの家へ歩き出していく。
何となく修也くんの袖を掴んでみれば不思議そうにこちらを見てくる。

「あのね、私も円堂くんと同じ気持ちだよ」
「…え？」
「あの3人組が修也くんに言った言葉…」

ああ、と思い出したように視線が逸らされた。幸い、腕は振り払われないのでそのままで…。

「なんて言えばいいのかわかんないけど、絶対……絶対！修也くんは何も悪くないからね！
その時の修也くんのこと…木戸川の皆は事情を知らないから好き勝手言ってるだけでしょ？」

あえて言うことでもない、ときっと伝えてないんだろう。
二階堂監督にだけ伝わった事なんだろう。なんてこと、すぐにわかるよ。

でも、だからって。
修也くんだけが辛い思いをするのは絶対に間違ってるから。

涙が溢れそうになるのをぐっと、堪えて。