自由な君と。- 豪炎寺修也 - ep2 (ページ23)

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挨拶。ページ23

「紹介するね、一之瀬一哉くん。前に少し話したアメリカの幼馴染の人なんだ」

修也くんの腕を握ったまま、そーなんだと一之瀬さんの顔をまじまじと見て。

「おい、A。おいっ」
「ん？え？何？」

お弁当箱を渡せば、そうじゃなくて、右手だと呆れた修也くんの声。
右手？と首を傾げて見ればしっかり掴んでる。
慌てて手を離せば、代わりにお弁当箱を受け取る修也くん。
気を取り直して、一之瀬さんに向かい合って。

ごくり、と肩唾を飲み込んで手を差し出してみる。

「Aさん……！」

木野さんの声、円堂くんや皆のどよめきを受けながらも手を震わせて。

「あ、の。Aです…。1年の頃から木野さんにお世話になってます……！」
「ふはっ何の挨拶の仕方？君面白いね」

よろしく、と手を取って軽く2、3回上下に振られてさらっと離されれば……。思わず目を輝かせてお弁当箱を鞄の上に置きに行った修也くんに喜びの報告へ駆け抜けた。

「修也くん！！見た？！ねえ！！みたっ？！」
「ぐっ？！え、な？見てない。おい、重たいだろ」
「挨拶できたよ〜！握手もできたよ〜！凄い成長」
「わかったから降りろ、重い」

「ぷっ…、ふふっ…皆面白いけどあの子も本当に面白いね。なに？そんなに知らない人と握手するの大変なの？」

平気そうなのに。と振り返り皆をみた一之瀬さんに対して、涙目の円堂くんと木野さん。
わ、みんなそんな感じなんだ。と納得したような一之瀬さんにお構い無しの円堂くんは「あいつも成長するんだな」と喜んでた。

「わかったから、降りろ」

背中に纏わり付いてたことを思い出して立ち上がれば、修也くんの鞄の中からお弁当箱が。

「あれ、フクさん居ないんじゃなかったの？」
「これはAの分。さっきフクさんが届けてくれたんだ」

わざわざいいのに、と隣にしゃがみ込めば、はい。と渡される。
事の起こりは登校中。修也くんが昼休みは少し抜けてコンビニに行かせてもらい、おにぎりを買ってくると言い出したので。

それなら、不格好でよければ私の分をあげる。ということ。
せっかくの休憩時間を外へ出て使うのは勿体ないから、と言えば少し照れくさそうにありがとう、と。

「ほら皆〜！手を洗ってきてお昼にしましょ！」

木野さんの声で皆が水道へ。
その間にスポーツドリンクとお茶を用意して。レモンの蜂蜜漬けも一緒に出せば柑橘系のいい香りが。

「補習は進んだ？」
「うん、少しずつだけど。大会の応援行けるように頑張るよ！」