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一息で、そう語ったあと
お願い、
とミンソクは片眉を上げて情けなく笑った。
それは、EXOと組んだことで負担を感じているタレントへの気遣いを装った、
ミンソクへの距離感を測りかねるAへの言葉だった。
一緒にいると、楽しくて、でも不意に、近づいてはいけないと気づいて。
元カレなんてそんなにいないから、もしこれが番組じゃなくても、正直どうしていいのかわからない。
それに必死で実を言うとEXOの名前なんて忘れていたのも事実だけど。
なにより、バレたらあの程度では済まない。
これは、ミンソクの、誠実だ。
誤魔化したり、ずるいことはしない人。
私が過去ばかり思い出してうじうじしてたこの一週間の間に、ミンソクは心を決めたんだ。
だけど、
そうなんだけど
Aは顔に、火がついてるのかと思うくらい、自分が一瞬で真っ赤になるのがわかった。
最後のくだりは、いらなくないか.....!
途中までは確かに気遣いと決断、という感じだった。
だけど最後のはちょっと毛色が違った。
まるでお願いするようにそんなこと言うなんて、
今のは、だって、まるで....
「告白だよ」
「えっ」
「告白みたいだ、って思ったでしょ」
「いや、いや、いやいや、あっ...なんでっ」
「俺、ずっと思ってたんだ。ウギョル。いくら仮想でも、告白もなく夫婦になるのは変だよね。だから今のは告白。あ、いや、結婚だからプロポーズ?」
「プロポーズ....」
「されたことある?」
「ないよ!!!」
「はは、良かった」
何が.....
「Aの、さっきのあれは、部屋がってことみたいだけど」
「俺は、Aが好きだよ」
今度息を飲んだのは、Aだった。
「こないだも今日も、本当に楽しい。こんなことがあるんだな、って思った」
視界がまた滲む。
今日は、どうしてこんなに、涙もろいんだろう、とAは思った。
髪を黒く染めてきた、ミンソクのせいだ。
「だから、俺と結婚してください」
ぽろぽろと、とうとう堪えてた涙が落ちる。
自慢じゃないが、Aは今までカメラのあるところで泣いたことはない。
初めての一位も、初めてのコンサートも、うまく踊れなくて辛かった時も、ファンが嬉しいことを言ってくれた時も、涙だけは見せなかった。
メンバーの前でだって、泣かなかった。
ミンソクの前だと、強さが保てない。
だって今までそんな必要はなかった。
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やま(プロフ) - 続きが気になってたので、更新めちゃくちゃ嬉しいです(^▽^) (2020年2月20日 2時) (レス) id: d703a895c5 (このIDを非表示/違反報告)
れもん(プロフ) - すっごく面白くて続きがめちゃくちゃ気になります!もう更新されないんですか? (2018年7月29日 17時) (レス) id: deb211a472 (このIDを非表示/違反報告)
ぷーたん(プロフ) - ここからどうなるのかすごい気になってます。更新待ってます! (2017年4月11日 14時) (レス) id: 00423f2856 (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - 館花茶妃さん» ありがとうございます!ここからはなんとかイチャイチャさせたいと思ってます〜〜お待たせしてすみません! (2016年11月14日 15時) (レス) id: d7566ac4dc (このIDを非表示/違反報告)
はなうたこ(プロフ) - peachさん» ありがとうございます!自己満感強いのに楽しんで頂けてうれしいです! (2016年11月14日 15時) (レス) id: d7566ac4dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はなうたこ | 作成日時:2016年9月7日 20時