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「Aを救う。もう二度と彼奴をテメェ等に傷付けさせやしねぇ。…頼られた手を一度手放して置きながら言えた義理じゃねぇけど、それでも彼奴のヒーローはお前達じゃなく、俺だ」
声など出ない。出せる訳が無い。分かっているのに、手は自然と口元を押さえ付けていて、心臓が嫌な音を立てるのを感じる。
「これから先、彼奴が俺を必要とする限り…いや、例え必要とされて無くとも、俺は彼奴の味方でヒーローでいるって決めてんだ」
だから、テメェ等には渡さねぇよ。そう言葉を続けた轟に罪悪感を感じる。中途半端に救いを求めてしまったから、結局逃げる道を選んでしまう僕をそんな風に思ってくれていたのだと苦しくなる。
「君が僕やかっちゃんと同じ理由でそれを言うのなら、僕は君に負けたくない。何度も傷付けて、苦しめて縛ってしまったけど…もう、僕は間違ったりしない！」
もう…やめてよ。
静かにその場に座り込み、膝を折る。轟の言葉も出久の言葉も純粋に嬉しいと思う反面、もう手遅れだと虚脱感に見舞われる。
誰の願いも叶わない。きっと、僕が選んだ道は皆を傷付ける。僕を救うと言ってくれる轟や間違わないと言う出久も、そして…僕の手を掴む勝己も、皆…傷付けるんだ。
「…時間取らせたな。これだけは言っておく。Aの隣に立つのは俺だ」
そう去っていく轟の後ろで出久が「僕も、Aちゃんの隣に立っていたいよ…」と小さく呟く声が聞こえた。
そして、二人が去った後、漸く僕の手を離した勝己が「俺はテメェの隣に立つ気はねぇぞ」とポケットに手を突っ込んで背を向ける。
「隣何か要らねぇんだよ。俺はテメェの前に行く」
それだけ言って去って行く勝己に僕は独り言の様に呟く。
「僕の隣はきっと、あの人だけだよ。そして…僕の前に居るのは……」
誰も居ない筈の後ろを振り返り、そこで僕を監視する様にじっと見ているあの子供を見詰める。
この子供の存在だけは消えない。無視し続けてもずっと僕を見ている。咎める様に、逃げるなと言う様に…ずっと。
「…いつまで付き纏うの」
『お姉ちゃんが認めるまでずっと一緒だよ』
子供に背を向け、当初の目的であった栄養剤を取りに向かう。その後ろで『お姉ちゃん、行っちゃダメだよ…』と言う声が聞こえたが、所詮それは幻聴で見えたあの子供も幻覚なのだと振り返る事は無かったのだった。
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パル(プロフ) - ウサギさん» ｺﾒﾝﾄ有難う御座います!!良い文なんてとんでもないです！1日で読んで下さったんですかΣ(・ω・ﾉ)ﾉ有難う御座います!!(><)これからもﾀﾞﾗﾀﾞﾗとした進行度ではありますが、どうぞよろしくお願いします!! (2018年6月1日 11時) (
レス) id: a050d7518b (このIDを非表示/違反報告)
ウサギ - 良い文ありがとうございます。 今日発見したが、すごくおもしろくて一日で全部読んでしまいました。 これからも頑張ってください。 (2018年6月1日 11時) (レス) id: 7b63bf87a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パル | 作成日時：2018年5月22日 20時
