【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、39人目 ページ39

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『大丈夫よ』『ごめんなさい』
『貴女は幸せになって』



「…ん…」



目が覚めた時に見えた病院の
真っ白な天井の虚しさと寂しさ。

自分の中身が空っぽになったようなそんな感覚

顔だけ動かすと私の右腕には
輸血と点滴がされていた。
左手で首元に触れると手当もされている。
手も、手当されている。

図々しくも、私は助かってしまったらしい。



「おう、目覚めたか」



声のする方を見ると窓辺に寄り掛かりながら
こっちを見る銀時の姿。
病室は贅沢にも個室で他に病室には誰も居ない

銀時は窓辺から離れると
私のベッドの横まで近付く。



「さっきまで新八達や
沖田くんとかも来てたけど

惜しいな、目覚めるのがあと五分
早けりゃ会えてたってのに」


「新八くんや神楽ちゃんはともかく
沖田くんには会いたくないので良いです」


「沖田くんが切ったって本人が言ってたけど」


「彼は刀を向けただけ。
私が刀に首を当てに行ったんです」



私の言葉に銀時は一瞬目を細めながら逸らす。
すぐに目線は私に、私の首に向いた。

そして、怪我の箇所にそっと触れる。

治療がされていて恐らく痛み止めも
投了されているので痛みは無かった。



「俺はお前を死なせる為に
お前を"買った"訳じゃねぇんだけど」


「…私、女中やめます」


「その言葉が無くても辞めさせるつもりだ。

お前が"外"を望むから希望を叶えてやった
…が、間違いだったみてーだからな」


「…」



銀時の言葉に私は何も言えなかった。
間違い。そう言われればそうかもしれない。
それでも、間違いと分かってても求めてしまう

銀時は『先生呼んでくるから』と
私の首元から手を離した。
思わず離れたその手に握るように触れると
彼は一瞬だけ冷たい目で私を見下す。


その目に、握る手が震えた。


けれど表情はすぐにいつも通りに戻り
銀時は何も言わずに優しく手を振り解くと
呆れたように口を開いた。



「俺は、お前の事情も私情も知ってるし
遊ばれてんのが分かった上で
お前に答えてっから幻滅も軽蔑も別にしねぇ

けど、…お前さ、欲しい物は
ずっと手元に無きゃ気が済まねぇの?」



銀時はそう言うと部屋を出て言った。

…そんなつもりは無かった。
ただ、言いしれない虚無感と不安に駆られて

誰か、側に居て欲しいと思った。

それは、普通の感情のはずなのに。
どうして銀時を怒らせた…?



…ああ、そうか。…私が普通じゃないからだ。

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