【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、32人目 ページ32

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洗い物をしてくれた後に新八くんは
私の隣に人一人分の間を開けて座り
一度、咳払いをしてから言葉を続けた。



「…俺なんてただの仕事仲間なのに
手出すなとか出されるなとか…。

そういえば、出されるなって
可笑しいくないですか?
あの言い方じゃ、まるでAさんが…」



なんて事ない会話の途中に私は
彼の肩を押すとソファに押し倒した。
あどけない彼の小さな「え…?」という声が
私の耳にハッキリと聞こえた。

私は彼の上に跨ると目を細め微笑みかける。
これが一番"落ちる"事を分かった上で。



「私が、色々な人に手を出してるみたい?」


「あ…の」



顔を真っ赤にして私を突き放そうと
肩に触れる手を中心に全身が震えてる。

その初々しい反応が可愛いと思った。

そして、少し虐めたくなってしまって
私は彼の眼鏡を奪うと彼から退いた。



「待っ…眼鏡は!」



彼から二、三歩遠のき彼の眼鏡を掛ける
度付きの眼鏡に目眩に似た感覚を感じながら
彼を見ると彼は本能的に私から
眼鏡を奪い返そうとしたのだろう。

起き上がって私の顔に手を伸ばす彼の目には
私は恐らくぼやけて距離感も掴めずに見えてて
伸ばした彼の手は、私の顔の横を通り過ぎ
眼鏡のアームに触れ、掴もうとしたであろう
彼の指は距離感を履き違えたまま

私の耳を掴むように触れた。



「ひゃっ!」


「えっ、あっ、すみませ…っ」



フラフラする視界でお互い状況なんて掴めない
吃驚した声を上げながら眼鏡を取ると
新八くんは困ったように目を逸らしていた。

少し虐めすぎてしまったかな。



「ごめんね、ふざけちゃった」



新八くんに眼鏡を掛けて上げると
彼は一度眼鏡を掛け直してから
私と目が合った瞬間頬を染めて目を逸らした。

そして、何事も無かったかのように
「あっ…じゃあ、帰りますね!」と言って
早足で玄関まで歩いていった。

着いていき、草履を履く彼を見ながら
私は釘を指すように彼に言った。
「沖田くんの言う事、間に受けないでね
さっきのも、ふざけちゃっただけだから」と。



「はい。…でも、何とも思ってない男に
あんなおふざけは危ないので辞めてください」



そう言って家を出ようとする彼に
私は彼の着物の裾を掴む。

驚いた表情で振り向く彼の頬にキスをした。



「貴方にしかおふざけもこんな事もしないよ?」



彼は困ったように真っ赤な顔を俯かせて
万事屋を後にした。



「…嘘はついてないよ」



だってこれは、おふざけでは無く遊びだから。

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