【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、22人目 ページ22

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彼の笑顔が、私には眩しかった。
私には無い物を持っている彼が羨ましくて
そして憎かった。彼と居ると
自分は醜いんだと言われているようで。

寂しいだなんて思っていない。
私は今のままで満足している。



"別に俺はアンタの事、好きじゃない

アンタの身体が好きで
アンタ自身は別にどうでもいい"



「…っ」



何で思い出したんだろう、あんな言葉。
それで良いって思っているのに
私はただ、誰でもいいから愛されたいだけ。

愛してほしいわけじゃない。
愛したいわけでもない。



「自分が誰かの目に見えていないのは
誰かが自分を見ていないのではなく
誰かが別の人や物事しか見えていないから。

自分なんて初めから見えてないと分かれば
心苦しさも悪くないと思えるし
すぐに吹っ切れもつくものさ」


「…随分、詳しいですね。失恋でもしました?」


「誰かを想い、その想いが叶わなかった事を
失恋と言うのなら俺は失恋はしていない。

お前こそ失恋でもしたか?
さっきから暗い顔をしているぞ」


「誰かを想い、その想いが叶わなかった事を
失恋と言うのなら、

…そもそも想ってませんよ、誰の事も。」



静まり返った夜の江戸の町に
小さく明かりが点った。

万事屋銀ちゃんの下の階はスナックで
主に夜に経営するお店なので
目の前に見えるスナックの店は賑わっていた。

階段を登れば目の前は万事屋の扉で
もう着いてしまった。



「小太郎さん、この後、予定ありますか?」


「俺はこれから寝床を探す用事がある」



こんな夜中に何で町を
歩いて居るのかと思ったけれど

攘夷活動をする彼は
一つの場所に長くは住めない。
恐らく移動時になったのだろう。
夜中の人の居ない時を狙って
住む所を探していたらしい。

攘夷志士は捕まるべき人達らしいけれど
私は正直言って興味もないので
彼がそういう人物と知りながらも咎めない。



「今日だけなら泊まっていっていいので
ちょっと身の上話でも聞いてくれませんか?」


「…お前みたく上手に
聞き手に回れるかは分からんぞ」


「…聞き手に回ってましたかね?

…どうせ銀時はどこかに遊びに行ってるし
神楽ちゃんも眠ってると思います

…今日は一人で居たくない気分なんです」



一人居たくないと思ったのは嘘ではなくて
誰でもいい。彼にでも愛されたいと願った。

…彼はいつもそうだ。私の頭に手を乗せると
「すまない、身の上話はまた会った時にでも」
なんて言って去ってしまう。


彼の中で私は子供のまま。

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