【銀魂】彼女の小指には赤い糸が沢山ある【沖田総悟】

浮気相手が、15人目 ページ15

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私が彼に負けないくらいの笑顔を
顔に貼り付けて答えると彼は満足げに目を開き
口元だけ笑みを浮かべたままその紫の和傘を
相合傘をするように私の頭上に差してきた。

歩き出すと、彼も一緒に歩きながら
また笑顔を作り、明るい声で喋り出す。



「こっちのゴハンが食べたくなってね
今さっき食べ終えたから
シンスケの船に戻る所だったんだ」


「へぇ、そうだったのですね。
…そういえば、高杉様はお変わりないですか?」


「シンスケも変わってないよ、相変わらず。
あ、君とシンスケが初めて会った時に
比べたら全然変わってるのかな?」


「ええ、あの時は私もまだ子供でしたし
…彼も幼かったですから
年月が経てば人も変わるんでしょうね
機会があればまたお話したいものです」


「うんうん、なるほどネ。
…会いたいなら、船に寄ってみる?」


「え?…良いんですか?私が寄っても」



神威は私の言葉に立ち止まった。
私も反射的に立ち止まって彼を見ると

月夜を遮断し、影の掛けた傘が
俯いた彼の目元を隠した。
見えている弧を描いた口元が動き
彼の喉からいつもより低い声が発せられる。



「ゴハンを食べたばっかりでね

…甘いデザートでも食べたいと思ってたんだ」



顔を上げた彼は、やはり笑顔だった。



「…じゃあ、お言葉に甘えて」



私も彼に笑顔を向ける。


彼は笑顔の作り方を、話し方を知っている。
どうすれば泣くか、どうすれば落ち着くか
どうすれば怖がらせないで済むか。

知っているからいつも笑顔で
『お嬢さん』なんて似合ってもない言葉を話す
…全て逆に胡散臭く、不気味になっているのは
今は置いておくとして、…私はずっと思っていた



彼は、私と、…似ていると。



だから彼と話すと毎回思うのだ。
自分と話しているみたいだからか

多分これは彼も私に思っている事だろう。



嗚呼、反吐が出る。

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