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ヒーローは遅れて来るのが相場だが、ただの遅刻とは全くの別物である ページ8

「何だてめぇ!」

思いの他強く払われたらしく、手を抑える酔っ払いおじさん。


「どうもすいませんでしたね、ウチの連れが迷惑かけたみたいで。ほら、行くぞ。」


おじさんが口を挟む暇もなく、

穏便な対処法のお手本のようなセリフを吐くと、今度は私の腕を掴み、歩き始める。





後方で聞こえた負け惜しみのような文句はもう完全に無視していた。



礼を言おうとするものの、振り向きもせずひたすら人混みをかき分けて歩き続ける。


手を引かれるがままに歩く私の方に少し目をやり、男の人が口を開いた。


「んで、自分家はどこか分かったか?」

「あぁ、はい。まあ、何とか。」


もちろん、嘘である。



これ以上また面倒なことにならないよう、本音を言いたい気持ちを抑えて誤魔化した。

「お前が言ってた住所はここからどれくらいだった?初めて聞く地名だったから、やっぱり結構遠かったってわけ?」

そんな質問の解答は用意しているはずもなく、また慌てて取り繕う。


「いや、まぁ、そこそこ遠い所まで来てたみたいで。」

愛想笑いを見せると、そう、とだけ相槌を打つ彼。


それからも続く質問を曖昧に答えていると、最後の質問で我に返った。




「え?今なんて?」



「だから、俺ん家で飯食うかって聞いてんだよ。」

「え!なんで!」

「いや、金持ってないんだろ、どうやってその腹の虫黙らせるんだよ。」



そう言われて私は空腹に耐えきれず悲鳴を上げるお腹に目をやって、両手で押さえた。



(鳴ってるの気付かなかった....ちょっと恥ずい...)



「ほら、着いたぞ。」



彼の目線をたどって見上げると、そこには一軒の家が立っていた。



『お登勢』と書かれた木の看板、そのまた上にある『万事屋銀ちゃん』と書かれた白い看板が目に入った。


二階建ての構造になっているその建物の一階は今も明るい光が戸から漏れ、地面には蛍光板が光っていた。



どうやら一階は何かのお店らしい。


現在進行形で営んでいる様子だ。


だが彼が言う"俺ん家"というのはどうやら上の階の方らしく。



「おーい、こっちだー。」

気付けば一人右脇の階段を上りながら私に声を掛けてきた。


マイペースな男だな、と思った。



言われるがままに階段を上り、二階の玄関まで辿り着く。




そこから見える景色は、世界そのものが私の知らないものになっていた。









どうやら本当に違う世界に来てしまったようだ。





理解することを脳が拒絶してる感覚がする。

人間は誰しもが食欲という野獣を飼っている→←酔っ払いに道理は無効



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のと丸(プロフ) - 雪華さん» わー!鋼錬の小説で、コメントして下さった方ですよね!ありがとうございます!(´∀`*)続編というか、新作ですが;; (2019年7月15日 9時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
雪華 - 続編おめでとうございます! (2019年7月15日 8時) (レス) id: 1286db9797 (このIDを非表示/違反報告)
のと丸(プロフ) - みぃさん» 初めまして!コメントありがとうございます!!ご感想とても嬉しく、励みになります!。°(°´∀`°)°。銀魂の小説は初めてなので至らないところがあるかもしれませんが、今後とも楽しんで下さい(´▽`*) (2019年7月13日 16時) (レス) id: 3187970ecf (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 初めましてです!とても面白いです!この作品が大好きです。更新頑張ってください! (2019年7月13日 16時) (レス) id: d77d134be6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:のと丸 | 作成日時:2019年7月10日 22時

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